【在職老齢年金制度をわかりやすく解説!】働きながらの年金、おすすめの受給方法とは?

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【在職老齢年金制度をわかりやすく解説!】
働きながらの年金、
おすすめの受給方法とは?

女性活躍推進による女性の社会への積極的参加、またそれと同時に進む男性の育児への積極的参加、またリモートワークなどの在宅勤務も注目されてきており、ここ数年で働き方に対する意識も大分変化してきました。
そして医療技術の進歩もあって、今や人生100年時代とも言われるようになり、昔のように「60歳で定年を迎えて、その後は年金での穏やかな老後生活を送る」というよりかは、生涯現役が謳われているように「年金はもらいながら、人生をより謳歌するために働く」というのが今後のスタンダードになりつつあります。ただし人間はどうしても加齢ともに心身の衰えがあることは否定できません。その時に年金を如何に有効活用していくのかが大事なポイントとなります。今回は働きながらの年金受給について、どのような仕組みのもと、「いくらもらえるのか?」「おすすめの受給方法は?」について、わかりやすく解説していきます。

知っておきたい
在職老齢年金の仕組み

在職老齢年金というのは「働くことによる収入がある場合は、年金額を調整(減額または支給停止)します」という仕組みになります。もともと年金制度自体が、加齢に伴う心身の衰えによって稼得能力(稼ぐ力)の喪失を補填するための制度なので、簡単に言えば「稼げる人は年金に頼らず稼いでください」ということになります。ただし、収入のある人すべてが年金を減額されたり、支給停止されたりするなると、収入の多い人と収入の少ない人との公平性が保てなくなるので、「実際に稼いでいる収入」と「もらえる年金額」を考慮したうえで、年金額を調整(減額または支給停止)していくこととなります。

在職老齢年金の
特徴について

在職老齢年金の特徴については、以下のとおりです。

  1. 厚生年金保険独自の仕組みであること
    在職老齢年金については、厚生年金保険における仕組みであり、あくまでも収入があることによって調整されるのは「老齢厚生年金」となります。いくら収入があっても「老齢基礎年金」は調整されません
  2. 老齢厚生年金において調整されるのは「報酬比例部分」であること
    老齢厚生年金は主に「報酬比例部分」「加給年金額」から構成され、そのうち収入によって調整される部分がこの「報酬比例部分」となります。ただし収入によって「報酬比例部分」が全額支給停止されると「加給年金額」も支給停止されることとなるので注意が必要です。逆に1円でも「報酬比例部分」が支給されれば「加給年金額」は全額支給されることとなります。
    加給年金額はついてはこちら
  3. 対象者は会社(厚生年金保険の適用事業所)に雇用される者であること
    老齢厚生年金を受給しながら、引き続き会社員として会社(厚生年金保険の適用事業所)に雇用され、厚生年金保険の加入者となる人が対象となります。なお70歳以上で厚生年金保険の加入者でなくなった人でも、会社に雇用されている限りは対象となります。
  4. 収入はあくまでも会社からもらう給与と賞与であること
    上記の3のとおり、対象者は会社に雇用される人となるため、収入=「給与と賞与」となります。つまり会社に雇用されておらず、定年後個人事業主として得ている収入については、支給調整の対象とはならず、年金額が調整されることはありません。

 

どれぐらい
支給調整(減額)されるのか?

支給調整される老齢厚生年金(報酬比例部分)の額を「支給停止額」といい、支給停止額は以下の計算式によって計算されます。
計算式の言葉の定義は以下のとおりですが、聞きなれない言葉も多いため、ここでは簡単にイメージをまとめていますのでご確認ください。

  • 総報酬月額相当額=「その月の標準報酬月額」と「直近1年間の賞与額を12で割った金額」の合計額
    ⇒近似値としては「月収」と「賞与の1/12」の合計額(平均月収)となります。
  • 基本月額=老齢厚生年金(報酬比例部分)の1/12
    年金額を月額に変換したものとなります
  • 支給停止調整額
    ⇒これはもともと厚生労働省が定めている金額であり、年によって金額が変更されたりします

 

実際に支給される
年金額は?

支給停止の計算式とその金額がわかれば、あとは「本来もらえる老齢厚生年金の額」から「支給停止される額」を引くだけですが、計算するのは手間がかかるので、下の表のとおり、実際に「受給できる年金額(月額)」を早見表にまとめてみましたので、ぜひ確認してみてください※全額支給される場合、一部減額されている場合、全額支給停止される場合とで3パターンで色分けしています。
【表の見方】
ケース①「縦列の総報酬月額相当額30万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「9万円(月額)の支給」となり、基本月額9万と変わらないため、年金が全額支給されます。
ケース②「縦列の総報酬月額相当額50万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「3万円(月額)の支給」となり、基本月額より6万円低く、年金額(月6万円)が減額されます。
ケース③「縦列の総報酬月額相当額60万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「0万円(月額)不支給」となり、年金額が全額支給停止となります。

 

 

老齢厚生年金の
繰り下げ支給について

ここで少し話は変わりますが、働く人にとって「いつから年金を受け取るのか?」、これも非常に大事なポイントです。老後もずっと働き続ける方もいらっしゃれば、引退した後は安らかに老後生活を過ごしたい方もいるでしょう。そのため老齢厚生年金については、本来65歳から支給開始されますが、申し出によって70歳まで支給開始時期を遅らせることができます。(令和4年4月からは75歳まで延長できます)
また支給開始を遅らせることで、老齢基礎年金(国民年金)同様に年金額を増額することができますが、ここで注意が必要なのは老齢厚生年金でいう増額とは以下の計算式で計算されるということです。

 

「繰下げ増額率」1ヶ月につき0.7%と決まっており、70歳まで受給開始時期を遅らせると0.7%×60ヶ月で最大で42%(令和4年4月からは最大で0.7%×120ヶ月で最大84%)の増額率となります。
ここまでは老齢基礎年金(国民年金)同様なのですが、少しやっかいなのが「平均支給率」です。
「平均支給率」とは65歳から受給開始年齢(例えば70歳)までの期間の各月において、在職老齢年金の仕組みによって支給調整(減額)された年金額を、本来の年金額(減額される前の年金額)で割り、それを全期間通じて月平均したものになります。少しわかりづらいかもしれませんが、例えば本来月15万円の年金がもらえるはずなのが、在職老齢年金の仕組みによって6万円しかもらなかった場合は、支給率は40%となります。これを月単位で計算し、全期間を平均化したものが平均支給率となります。ここでもわかりやすく早見表を作成したので確認してみましょう。
ここで大事なのでは、平均支給率が100%であれば、繰り下げ支給による増額のメリットが最大限活かされますが、平均支給率が減るにつれて増額のメリットは段々と少なくなり、平均支給率が0%(年金が全額支給停止)の場合は、増額のメリットはなくなるという点です。

 

退職時改定・在職定時改定
について

また老齢厚生年金の繰り下げ支給と同時に大事なのが、「退職時改定」です。「退職時改定」というのは、働きながら年金をもらっている人が、会社を退職した場合に、年金額の改定を行うことを言います。
これは、例えば65歳から年金をもらいなが働いている人の年金額というのは、あくまでも65歳までの厚生年金保険の加入期間で計算していることとなります。当然65歳以降も厚生年金保険に加入しているわけなので、退職する際はその加入期間が延長した分を年金額に反映させるというのが「退職時改定」のポイントとなります。以下の図の場合、70歳に退職したとなれば、その時に退職時改定が行われ、年金額が一気に増額することがわかります。

ただし、今回年金法改正が行われ、令和4年4月からは「在職定時改定」が導入され、毎年10月に年金額が改定されることとなり、以下の図のとおり働いている間は段階的に年金額が増額することとなります。今までは退職するまで加入期間は退職後でしか年金額に反映されていなかったのが、今回年単位で都度反映されることとなり、実態に即した年金額を受給することができるようになります。この点については金額面でのメリット・デメリットはあまりないですが、知識として留めておくと良いでしょう。

おすすめの受給方法は?

さて、最後に働きながらの年金受給について「おすすめの受給方法」を紹介します。受給方法については、在職老齢年金の仕組みによって、年金が支給調整(減額また支給停止)されることや、老齢厚生年金の繰り下げ支給による増額のメリットにも影響していること、また働き方に対する個人の考え方の違いによって、一概に全員におすすめの受給方法というのは存在しません。ただし、在職老齢年金の仕組みによる年金の受け取り方法によって、概ね3タイプに分けられるため、今回は各タイプごとに「おすすめの受給方法」について紹介していきます。

あたなはどのタイプ?

まず自分がどのタイプに当てはまるのか確認するために、下の表を見てみましょう。
概ね皆さんが「65歳以上になった時に受け取れる年金額(基本月額)」と「働くことによって得る平均月収(総報酬月額相当額)」によって、在職老齢年金の仕組みによる平均支給率が確認できるようになってます。
簡単言えば、平均支給率が100%の場合は年金が全額受給でき、逆に平均支給率が0%の場合は年金が全額支給停止となります。それ以外の場合は一部年金が減額されることとなります。そして平均支給率による各タイプは以下のとおりです。まずは自分がどのタイプなるのか確認したうえで、タイプ別の受給方法を確認していきましょう。

【平均支給率によるタイプ別】

  1. 年金重視タイプ(平均支給率が100%の方)
    ⇒在職老齢年金の仕組みによる年金の減額がなく、年金が全額受給できる方で、働くよりかは穏やかな老後生活を考えている方。
  2. バランスタイプ(平均支給率1%~100%未満の方)
    ⇒在職老齢年金の仕組みにより年金の一部減額がある方で、年金だけでの老後生活に不安であり、一定の収入は稼ぎたい方。
  3. 働く重視タイプ(平均支給率が0%の方)
    ⇒在職老齢年金の仕組みにより年金が全額支給停止となる方で、年金に関係なく、自分の生きがいとして働けるうちは働きたい方。

①年金重視タイプの
「おすすめの受給方法」は?

「年金重視タイプ」は、在職老齢年金の仕組みによっても年金が全額受給でき、最も年金制度の恩恵を受けやすいタイプとなります。このタイプの特徴としては以下のとおりとなります。

【タイプの特徴】

  1. 平均月収(月収+賞与)が概ね30万円以下であること。
  2. 老齢厚生年金においては、在職老齢年金の仕組みによっても、年金が全額受給(平均支給率100%)できること。
  3. 老齢厚生年金の繰り下げ支給による増額メリットの効果が最大限期待できること。

ではこれらの特徴を踏まえたうえで、より良いおすすめの受給方法について紹介します。

【おすすめの受給方法】

  1. 収入が比較的少ないため、65歳以降は有期年金(個人年金保険、確定拠出年金iDeCo)があれば優先して活用していきましょう。
  2. 老齢厚生年金と老齢基礎年金は繰り下げ支給による増額を見込むため、できる限り70歳まで受給を先延ばしにしましょう。
  3. 収入が低く生活に困る場合は、生活費に応じて老齢基礎年金もしくは老齢厚生年金のどちらか一方(または両方)の受給開始を検討していきましょう。
    ※この場合、年金額が高い方を先に受給してしまうと、その分繰り下げ支給による増額メリットの効果が低くなるので注意しましょう。

 

 

②バランスタイプの
「おすすめの受給方法」は?

「バランスタイプ」は、在職老齢年金の仕組みによって年金が一部減額され、本来もらえる年金と稼ぐ収入によって、その減額される額が異なってくるタイプとなります。このタイプの特徴としては以下のとおりとなります。

【タイプの特徴】

  1. 平均月収(月収+賞与)が概ね40~50万円の範囲であること。
  2. 老齢厚生年金においては、在職老齢年金の仕組みによって、年金が一部減額されること。
  3. 減額される額は、平均月収と本来もらえる年金額によって、個人個人で異なること。

ではこれらの特徴を踏まえたうえで、より良いおすすめの受給方法について紹介します。

【おすすめの受給方法】

まず受給方法を紹介する前に、この「バランスタイプ」については、一部年金は減額されるものの、逆に言えば受給できる年金もあるということになり、当然受給できる年金についてはそのまま受給することもできれば、繰り下げ支給により将来の年金額を増やすこともできます。以下の表は「繰り下げ支給を70歳までに延長した時」と「繰り下げ支給を67歳までに延長した時」との比較となりますが、各々70歳、67歳に到達するまでは、支給停止部分(減額部分)の年金はもちろんのこと、支給部分の年金も受け取らずに、その分繰り下げ支給によって将来の年金額を増額させていることを示しています。

次に気を付けておきたいのでは、平均支給率によって、繰り下げ支給時に増額される金額も変わってくるという点です。この点については実際に「支給停止部分の年金額(累計額)」を「繰り下げ支給による増額(累計額)」で補填できるかどうかを検証するため、平均支給率と繰り下げ支給による増額率の損益分岐点を以下の表にまとめて見ました。なお男性と女性とでは平均寿命が異なり、それに伴い繰り下げ支給による増額の累計額も異なってくることから、男女別に作成していますので各自ご確認ください。男性の場合だと平均支給率が50%以上であれば、女性の場合だと平均支給率35~40%以上あれば、繰り下げ支給による増額のメリットが期待できます。

なおここで加えておきたいのは、受給できる年金累計額についても、平均寿命を踏まえると、男性女性とも70歳(令和4年4月以降の場合について男性70歳、女性75歳)に受給を開始するのが一番お得だということです。
そのうえで、おすすめな受給方法についてまとめると、以下のとおりとなります。

【おすすめの受給方法(男性版)】

  1. 平均支給率が50%以上(年金が半分以上もらている)であれば、老齢厚生年金はできる限り70歳まで繰り下げ支給としましょう。
  2. その場合、繰り下げ支給することで年金がもらえず、生活に困る場合は、有期年金(個人年金保険、確定拠出年金iDeCo)があれば優先的に有効活用しましょう
  3. 平均支給率が50%を下回るような場合は、繰り下げ支給によるメリットが期待できないため、老齢厚生年金は65歳から受給しましょう。
  4. その場合、老齢厚生年金は退職時改定による増額が見込めるため、できる限り70歳まで働くこと(厚生年金保険に加入すること)をイメージしておきましょう

【おすすめの受給方法(女性版)】

  1. 平均支給率が40%以上であれば、老齢厚生年金はできる限り70歳まで(令和4年4月以降は75歳まで)繰り下げ支給しましょう
  2. その場合、繰り下げ支給することで年金がもらえず、生活に困る場合は、有期年金(個人年金保険、確定拠出年金iDeCo)があれば優先的に有効活用しましょう。
  3. 平均支給率が40%を下回るような場合は、繰り下げ支給によるメリットが期待できないため、老齢厚生年金は65歳から受給しましょう
  4. その場合、老齢厚生年金は退職時改定による増額が見込めるため、できる限り70歳まで働くこと(厚生年金保険に加入すること)をイメージしておきましょう。

③働く重視タイプの方への
「おすすめの受給方法」は?

「働く重視タイプの方」は、在職老齢年金の仕組みによって年金が全額支給停止される方、すなわち働くことによる収入のみで生計を立てる方となり、このタイプの特徴としては以下のとおりとなります。

【タイプの特徴】

  1. 平均月収(月収+賞与)が概ね60万円以上と、65歳以降も比較的高収入であること。
  2. 老齢厚生年金においては、在職老齢年金の仕組みにより全額支給停止(平均支給率0%)であること。
  3. 老齢厚生年金の支給繰り下げによる増額メリットはゼロであること。
  4. 老齢厚生年金の増額させるには、厚生年金への加入期間(退職時期)を延ばすこと。

ではこれらの特徴を踏まえたうえで、より良いおすすめの受給方法について紹介します。

【おすすめの受給方法】

  1. 支給繰り下げしても老齢厚生年金の金額は増額しないため、退職と同時に年金は必ず受給しておきましょう。
  2. 老齢厚生年金は退職時改定による増額が見込めるため、できる限り70歳まで働くことをイメージしておきましょう。
  3. 仮に70歳前に退職した場合、70歳までは収入が無くなるため、有期年金(個人年金保険、確定拠出年金iDeCo)があれば有効活用していきましょう。
  4. 65歳~70歳までは収入や有期年金があるため、老齢基礎年金は70歳まで繰り下げ支給として、増額させておきましょう。

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか?老齢厚生年金は非常に構造が複雑であり、老齢基礎年金(国民年金)とは異なり、働きながら年金をもらうことはできる分、収入によって年金額が支給調整されたり、また支給調整されることにより、繰り下げ支給時における増額部分へも影響が出てきます。また退職する時期も人それぞれのため、「いつ、どのタイミングで年金を受給した方が良い」というこれぞ成功法というのはありません。大事なのは自分のライフデザインを描き「どのように働くのか?」「どのような老後生活を過ごすのか?」を考えて、それに見合った年金の受給方法を選択していくことではないでしょうか。

★在職老齢年金の年金改正(令和4年)はこちら↓

 

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