時事問題

【2022年10月新設予定】男性版産休制度の概要を解説!

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2021年2月26日、政府が男性に育児休業の取得を促すことを目的とした「育児介護休業法の改正案」を閣議決定し、子供の出産直後に現在の育児休業制度とは別に取得できる「男性版産休制度」を新設することが明らかになりました。

このまま法案が成立すれば2022年10月ごろに制度が始まる見通しとなります。「男性が産休?」と疑問に思われる方も多いと思いますが、男性の産休制度がどのようなものなるのか、制度の概要について確認していきたいと思います。

男性の育休取得率は7.48%

厚生労働省より2019年度の男性の育児休業取得率は7・48%と公表されており、7年連続で増加しており過去最高値ではあるものの、女性の育児休業取得率が80%を超えていることからすれば、まだ男女間での育休取得格差が大きい状況となっています。

なお、日本に似た状況の国としてドイツが挙げられますが、ドイツも以前は男性の育児休業取得率が10%に満たない状況でしたが、両親手当の支給(日本でいう育児休業給付金に近い支給制度)により、今では約35%程の取得率となっています。

男性育休、昨年度の取得は7.48% 政府は新制度検討:朝日新聞デジタル

出典:朝日新聞DIGITAL

男性版産休制度が新設される理由

現行の育児介護休業法でも、男性は育児休業を取得することができます。特に「パパ休暇」や「パパママ育休制度」といった制度もあり、両親が共に子育てをすることで、男性の育児休業は2回に分割して取得できること、また育児休業期間が2か月延長されるなどのメリットがあり、日本の国としても男性の育児休業取得を推進しているのが現状です。

しかし、育児休業を取得するとなると、原則として休業開始の1ヵ月前までに会社への申出が必要となってきます。女性の場合だと出産準備のため、育児休業の前に産前産後休業を取得しているケースが多いですが、男性には産前産後休業は無いため、「奥さんの出産が予定よりも早まった場合、すぐに休暇を取得できない」といった問題が生じることがあり、男性の育休取得時期が概ね「子供の出生後8週以内」に集中していることを考慮すると、こうした問題は解消していく必要があります。

また男性の育児休業取得率が低い要因として、「会社の育児休業制度が整備されていなかった」「職場が取得しずらい雰囲気だった」ことが理由としてあることから、企業サイドからの働きかけも必要となってきます。

このように男性の育児休業取得に対する阻害要因をなるべく解消することを目的として、今回政府によって「男性版産休制度」が閣議決定され、法案が成立すれば2022年10月より男性の産休制度がスタートすることとなります。
なお「男性版産休制度」はあくまでも呼称であり、厚生労働省の雇用環境・均等分科会でも「子供の出生直後の休業の取得を促進する枠組み」という位置づけでに留まり、また政府の閣議決定でも「育児介護休業法の改正案」であることから、法案成立後は名称が変わる可能性があります。
ただし「男性版産休制度」という言葉はインパクトがあり、今後男性も育児休業を取得しやすい環境づくりが必要となるため、広く周知されるようニュースや新聞などでも「男性版産休制度」というキーワードが用いられています。

★現行のパパ休暇・パパママ育休プラス制度を知りたい方はこちら↓

新設予定:男性版産休制度の概要

男性版産休制度については現時点では改正案であり、実際には法案としては成立していないので、ここでは厚生労働省「第34回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の【資料】」を参考にして、現時点で想定されうる制度の概要を確認していきたいと思います。(2020年12月時点)

①対象期間・取得可能性日数

現行の育児介護休業制度における男性の育休取得状況や、女性の産後休業期間を踏まえ、「子供の出生後8週間」に年次有給休暇の年間最長付与日数(20日間)を参考にして「4週間」取得することが検討されています。
また男性の育休取得については分割取得を希望する声をも多く、「子供の出生後8週間」において、2回にわたる分割取得が可能になるかもしれません。

②会社への申出タイミング

原則として育児休業取得時には、会社への申出は休業開始の1ヶ月前までにする必要がありますが、これを原則「2週間前」までに申出することで検討されています。

③育児休業中の就労について

通常を育児休業を取得する場合は、恒常的・定期的な就労(予め予定されている就労)は禁止されていますが、現在では在宅勤務やテレワークが浸透したことから、育児休業中でも一定の条件下で就労が可能となる可能性があります。

例えば火曜日と木曜日の週2日、1日4時間といった予め予定された就労は「休業」とはならないため原則禁止となっていますが、この条件を緩和することで、育児休業中でも柔軟に働ける環境下になる可能性があります。ただし育児休業中でも半ば強制的に就労させることができてしまうことから、慎重に検討されるべき内容だと思われ、今後の動向に注目すべきポイントでもあります。

④企業に義務付けられること

最近では大手企業を中心として、男性社員への育休取得を奨励している企業も徐々に増えていますが、男性の育児取得率が低い要因として「会社の育児休業制度が整備されていない」「職場が取得できる雰囲気ではない」といった企業側の環境要因が挙げられ、実際に「会社としての育休制度が整備されている」「上司の働きかけがある」いった場合、育休取得率が高いことが統計として明きらかになっています。

今後さらなる企業側の環境要因を改善していくために、第34回労働政策審議会雇用環境・均等分科会の【資料】」で、検討されているのは以下の3点となります。

  • 新制度及び現行の育児休業を取得しやすい職場環境の整備
  • 本人又は配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対し、個別に周知し、取得の働きかけを行うこと
  • 育児休業の取得率又は育児休業及び育児目的休暇の取得率の公表(大企業のみ)

企業側の環境要因としては、今後は周知するだけでなく、性別にかからわず男性社員に対しても取得勧奨、取得しやすい環境整備を行う必要が出てくる可能性があります。

最後に

実際に育児休業を取得するかどうかの判断は、子育てをする夫婦で十分に話し合い検討されるのが一番です。ただし男性の育児休業取得率を踏まえると、必然的に女性に育児負担がかかってしまうのも現状です。本来目指すべき姿とは、夫婦で検討した結果を踏まえて、男性女性に関わらず育児休業を取得できる環境作りであり、企業側のさらなる取組みと経営者側の意識改革は必要だと考えられます。今までは男性の育休については軽視されがちな風潮もありましたが、今後は企業と社員とのエンゲージメントを高める施策としても注目を浴びることになりそうです。

 

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