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【社労士監修】年次有給休暇の繰り越し・買い取りについて解説!
仕事が多かったり、タイミングがなかなか合わずに、年次有給休暇があまり取得できていない方も多いのではないしょうか?年次有給休暇は勤続年数に応じて取得できる日数が決まりますが、いつまでも取得できるわけではありません。今回の記事では、年次有給休暇の有効期限や繰り越し制度について、わかりやすく解説していきたいと思います。
年次有給休暇の付与条件
年次有給休暇が付与されるには、まず①同じ会社における勤続年数が6カ月以上であること、また②その間の労働日数に対する出勤率が80%以上であることが条件となります。
年次有給休暇の付与日数
条件を満たした場合、年次有給休暇が付与されることなりますが、勤続年数が長くなる程、付与日数は多くなります。労働基準法においては最大で20日と規定されていますが、会社によっては就業規則で20日を超えて付与する場合もありますので、実際には勤務先の就業規則を確認しておくと良いでしょう。
なお正社員(フルタイム勤務)方とパート・アルバイトの方と比較した場合、一般的に所定労働日数や所定労働時間の少ないパート・アルバイトの方は付与日数も少なくなります。
年次有給休暇の有効期限
年次有給休暇が付与されるタイミングは「条件を満たした日(例:入社してから6カ月後)」となりますが、会社の労務管理においては、従業員に対して一律に「基準日(例:4月1日)」を設けて与えている場合もあるため、その場合は「基準日」に年次有給休暇が付与されることとなります。
そして年次有給休暇の有効期限は付与された時(条件を満たした日または基準日)から2年間となり、2年間を超えた場合は時効により取得できなくなります。逆に言えば、2年間の範囲内であればいつでも取得できることになります。
年次有給休暇を繰り越した場合
では、実際に年次有給休暇が思うように取得できず、翌年度に繰り越した場合はどうなるのですようか?具体的に見て行きたいと思います。
例えば、入社してから6カ月後に10日が付与され、1年間のうちに5日を取得した場合は、残りの5日間が繰り越されることとなります。また入社から1年6カ月後には新たに11日が付与されることとなるため、合計で16日(5日+11日)の年次有給休暇が取得できることとなります。
【ケーススタディ】
■入社日:2020/4/1
⇒この時点ではまだ条件を満たしていないため、年次有給休暇は付与されません。
■入社後6カ月:2020/10/1
⇒出勤率80%の条件を満たしていれば年次有給休暇が10日付与されます。~この1年間で5日の年次有給休暇を消化~
■入社後1年6カ月:2021/10/1
⇒出勤率80%の条件を満たしていれば年次有給休暇が11日付与されますが、繰り越し分5日があるため、その後1年間においては合計で16日の年次有給休暇を取得できることとなります。
年次有給休暇の買い取りは原則不可
日本の年次有給休暇の取得率は、主要諸外国とも比べて低いため、未消化の年次有給休暇は多く、労使交渉においても年次有給休暇の買い上げを求める声もあったりしますが、年次有給休暇の買い取りは原則不可となります。
理由としては、年次有給休暇の主旨はあくまでも労働者の心身のリフレッシュや休養を目的としているからで、仮に買い上げを認めた場合、会社によってはお金を払うことで従業員に休暇を取らせないことが事実上可能となり、労働者保護に欠けてしまうからです。
ただし、以下の3つのケースの場合は、例外的に買い上げ可能となります。
例外的に買い上げが認められるケース
【ケース①】
会社の就業規則等で定めている年次有給休暇の日数が、労働基準法で定められている日数を超えている場合です。この場合は超えている日数分については、買い上げが認められています。【ケース②】
年次有給休暇の有効期限を過ぎてしまった場合です。年次有給休暇は付与されてから2年間で時効によって消滅することになっているので、その2年間に消化しきれなかった年次有給休暇については、買い上げが認められています。【ケース③】
退職する社員の年次有給休暇が、退職日までに未消化のまま残ってします場合です。退職後は当然ながら年次有給休暇を取得することができないため、未消化の日数分については、買い上げが認められています。
なお、上記3つのケースにおいては、例外的に買い上げが認められているだけであり、法律上の義務ではないため、会社が必ず買い上げをしなくてはいけないというものではありません。
もし会社が買い上げを認めている場合は、就業規則に定めているため、事前に確認しておくと良いでしょう。
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