時事問題

【社労士監修】2025年から始まる時短勤務給付金(育児時短就業給付)について解説!

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現在、日本政府は「異次元の少子化対策」として様々な方針を示していますが、その1つとして厚生労働省が2025年を目途に「育児時短就業給付(仮称)」を導入する方向で検討を始めました。

育児に関する給付金と言えば「育児休業給付金」であり、育児休業中(仕事を休んでいる間)の給付金がメインですが、今回の「育児時短就業給付(仮称)」は育児かつ仕事をしている間の給付金となります。

この記事では、「育児時短就業給付(仮称)」の概要について解説していきます。

通常子供が1歳になるまでは「育児休業」を取得することでき、育児休業中の収入を補償するため、その間は雇用保険における「育児休業給付金」が支給されることになります。

その後子供が1歳を過ぎた場合は、育児休業から会社復帰して再び仕事を始めることになりますが、当然に育児が終わったわけではないため、「育児と仕事との両立」というのが必要となります。

その「育児と仕事との両立」を推進するために会社に導入されているのが「時短勤務制度」であり、原則3歳未満の子供を育児する場合、所定労働時間8時間のところを6時間までに制限することができる制度です。

ただ、ノーワーク・ノーペイの原則から、労働時間が短くなった分は給与もカットされることから、時短勤務制度を活用した場合は収入が減ることとなります。それを補填するために今回導入が検討されているのが、「育児時短就業給付(仮称)」というわけです。

「育児時短就業給付(仮称)」の概要

まず「育児時短就業給付(仮称)」の対象要件については、まだ正式に決定しているわけではありませんが、育児休業給付金と制度目的が同じであることから、

時短勤務日前2年間で、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上あること

2歳未満の子どもを養育していること

時短勤務の利用により賃金の減収があったこと

というのが支給の要件となる見込みです。

また支給される額についても正式決定に至っていませんが、賃金の10%を支給されるとのことです。この点「どの時点の賃金をベースにするか?」も議論の余地がありそうですが、時短勤務における減収分を補填することが目的とすれば、

時短勤務月における本来の固定給(所定労働8時間労働)の10%

となる見込みです。

具体例を挙げれば、所定労働時間8時間で固定給が月30万円の人が、育児のため2時間の時短勤務をした場合、

  • 通常の所定労働時間:1日8時間
  • 時短勤務時の労働時間:1日6時間
  • 時短勤務時の給与:30万円×6時間÷8時間=225,000円
  • 育児時短就業給付(仮称):300,000円×10%=30,000円
  • となるため、給与+給付金で255,000円の収入となります。
  • 時短勤務制度を利用する場合、所定労働時間が8時間から6時間と3/4となるため、給与もそれに応じて3/4=25%カットとなるのが一般的なので、「育児時短就業給付(仮称)」があれば10%分はリカバリーできることとなります。

時短勤務制度の課題

時短勤務を利用する場合の不安は、収入ばかりではなく、その後のキャリアや仕事量の問題という指摘もあります。

実際に働き方の変化で不利益に感じたものとして、

男性の場合は
①「責任のない役職に変わった」
②「業務負荷が減った」
③「時間あたりのアウトプット(成果)で評価されなくなった」

女性の場合は
①「勤務時間にあわせて仕事量が変わらなかった」
②「時間あたりのアウトプット(成果)で評価されなくなった」
③「責任のない役職に変わった」

が挙げられます。

この点について、育児と仕事との両立=バランスを取りながらというよりも、育児も仕事も頑張りたいという子育て労働者が増えているようにも感じます。

子育てもしたいけど、自分の培ってきたキャリアも大切にしたい。

こういった子育て労働者への支援は収入面だけではなく、企業単位の積極的な取り組みというのも必要だなのではないしょうか?

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