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【仕事と育児の両立】3歳までの子育ては残業免除制度を活用しよう!

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~社労士監修~
【仕事と育児の両立】3歳までの子育ては残業免除制度を活用しよう!

 子供が1歳までだと育児休業を取得して子育てに専念する一方、子供が保育園に入所するタイミングで仕事へ復帰する方も多いのではないでしょうか?

ただ、仕事に復帰したとしても保育園の送迎が毎日あるため、フルタイム勤務で働くというよりは時短勤務制度を上手く利用して働いている方もいると思います。

しかし、時短勤務のデメリットして、所定労働時間が短くなることで給与やボーナスが減ってしまうことから、

「仕事が忙しい、でも保育園の送り迎えがあるし、時間に余裕が・・・」
「時短勤務もいいけど、収入あまり減らしたくないな・・・」

と、時間とお金の兼ね合いで悩む方は少なくありません。

その時に上手く活用したいのが、「残業(所定外労働時間)免除制度」であり、文字どおり「所定労働時間分はきちんと働いて、その後の残業は一切なし!」という制度になります。

今回は、仕事と育児を両立させたいパパ・ママを対象に、育児介護休業法に基づく「残業免除制度」について紹介していきます。

【この記事でわかること】「残業免除制度」を知ることで、
収入をあまり減らすことなく、時間的にも余裕ができ、
「仕事と育児の両立」が実現できます!

残業免除制度(所定外労働時間の免除)について

「残業免除制度」(所定外労働時間の免除)とは、育児を理由として退職してしまう人を減らすため、仕事と育児の両立を目指せるように、育児介護休業法により制定された制度です。

妊娠や出産後の産前産後休業(産休)や、原則子供が1歳までの間に取得できる育児休業(育休)の制度は良く知られていますが、子供が1歳になって保育園に入所できることとなった場合は、同時に育児休業が終わるため、そのタイミングで仕事に復帰する方が多いのが実情です。

実際に厚生労働省の平成30年の雇用均等基本調査でも、「育児休業の取得期間は1年以内」とする女性は約6割を占めています。(ちなみに男性の場合は「育児休業の取得期間は2週間以内」とする回答が約7割を占めています)

ただし、育休明けで仕事に復帰したとしても、毎日保育園への送り迎えがあったりと育児は続いているため、「育児⇒保育園送迎⇒仕事⇒保育園送迎⇒育児」といった時間の制約がある中で、仕事をこなさなくてはならず、フルタイム勤務で働くとなると自然と時間的にも精神的にも余裕がなくなってきてしまいます。

そういった方を対象に、仕事と育児の両立を図るために設けられたのが「残業免除制度」になり、まさに仕事も育児も頑張るパパ・ママ向けの制度と言えます。

残業免除制度の対象は「子供が3歳まで」

残業免除制度は、3歳未満の子どもを養育している方が対象となり、制度が利用できると「原則、残業(所定外労働時間)はなし」となります。

なお、育児介護休業法では子供が3歳未満と規定しており、子供が3歳未満で従業員が残業免除制度の利用を申し出た場合は、企業は必ず残業免除制度を利用させなければなりません。

一方で子供が3歳以上となった場合は、原則として残業免除制度の対象とはなりませんが、小学校入学前まで残業免除制度を適用するよう企業に努力義務として課せらているので、勤務先によっては子供が3歳以上でも残業免除制度を利用することが可能です。

ただし、あくまでも努力義務に留まるため、現在働いている勤務先の就業規則において、子供が3歳以上の残業免除制度の規定がなければ、子供が3歳になった時点で「残業あり」として働くことになります。もし3歳以上でも残業免除制度を利用したい場合は、個別に会社に相談してみるのも良いでしょう。

残業免除制度の対象となる条件

では実際に残業免除制度の対象となる条件について、詳しく解説していきたいと思います。

条件①:子供が3歳未満

先程述べたとおり、育児介護休業法では「3歳未満の子供」を養育している人が対象となります。なお子どもの人数は関係なく、養育している子供のうち1人でも3歳未満の子どもがいる場合には残業免除制度を利用することができます。

条件②:日雇い労働者ではないこと

日雇い労働者は雇用期間という考えがないため、時短勤務制度の対象にはなりません。一方でも非正社員・派遣社員、またパート・アルバイトという名称でも、他の条件を満たせば残業免除制度を利用することができます。

条件③:事業の正常な運営を妨げないこと

あまりケースとしては少ないですが、業務に支障をきたす場合には、会社は残業免除制度を利用させないことができます。

労使協定により対象から外れる場合

なお、残業免除制度は条件を満たせば誰でも制度を利用できますが、以下のケースは労使協定によって適用除外とされ、制度を利用できない場合があります。勤務先によって異なりますので、個別に確認しておくことをお勧めします。

ケース①:雇用期間が1年未満

雇用期間が1年未満の方は、残業免除制度の対象にならないことがあります。これは非正社員、派遣社員、パート・アルバイトの名称に関係なく、雇用期間で判断されます。

ケース②:所定労働日数が週2日以下

所定労働日数が週2日以下の場合は、仕事と育児の両立が可能であると考えられ、残業免除制度の対象にならないことがあります。

残業免除制度と時短勤務制度の違い

「残業免除制度」と似た制度で「時短勤務制度」があります。

「時短勤務制度」は雇用契約に定められた所定労働時間そのものを短縮して、育児との時間調整を行うのに対して、「残業免除制度」は雇用契約に定められた所定労働時間はそのままで、残業(所定外労働時間)を無くすことにより、育児との時間調整を行うものなります。

時間だけ考えると「時短勤務制度」の方がより育児との両立を図りやすいですが、所定労働時間が短くなる分、給与が減額されたり、また賞与への影響が出てきます。逆に「残業免除制度」は残業がないだけなので、あくまでも残業代のみ減額するだけであり、賞与への影響はあまりありません。

【2つの違い】 時短勤務制度 残業免除制度
時間的メリット
(所定労働時間の短縮)

(残業なし)
   金銭的メリット
給与(基本給)の減額あり
賞与への影響あり

残業代のみ減額
賞与への影響は低い

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残業免除制度のメリット・デメリット

現在でも出産や育児によって退職を余儀なくされる方は少なくありませんが、残業免除制度を活用することで育児を理由に退職せず、仕事と育児を両立することが可能となります。

ここでは残業免除制度のメリット・デメリットを紹介していますので、制度の利用を検討する際にぜひ参考にしてみてください。

残業免除制度のメリット

残業免除制度を利用することで、以下のようなメリットがあります。

  • 残業がなく終業時刻が決まっているので、育児含めて1日のスケジュールが立てやすい
  • 退職せずに継続してキャリアを積むことができる
  • 給与は残業代のみ減るだけ

やはり、残業免除制度のメリットは「残業が無い分、仕事と育児とで1日スケジュールが立てやすい」うえに「給与もあまり減らない」点です。実際に仕事を終わらせて保育園へ送り迎えをしているパパ・ママの悩みで多いのが「時間的な余裕がないことによるストレス」とも言われており、そういった方がいれば残業免除制度の利用をお勧めします。

残業免除制度のデメリット

一方で時短勤務の利用する際に、注意しておきたいデメリットもあります。

  • 給与のうち残業代の割合が高いと、収入面に不安がでる
  • 残業が当たり前の会社では、人間関係が悪化する場合がある

勤務先によっては固定残業代を含めて給料が支給されているケースもあり、残業免除制度を利用した場合、思った以上に収入が減る可能性もあるため、残業免除制度を利用する際には勤務先に確認しておくと良いでしょう。

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残業免除の申請

残業免除制度を利用するときは、勤務先に申請する必要があります。

また急に残業免除を申請しても、会社側で人材の確保や業務量の調整等の準備が間に合わない場合があります。

残業免除を申請するときは予め上司や人事部等に相談したうえで、「いつからいつまで利用するのか?」具体的なスケジュールを話し合う必要があり、申請時期についても利用開始予定日の1~2カ月前と規定する会社は多いので、予め就業規則で確認しておくと良いでしょう。

申請による不利益な取り扱いの禁止

実際に残業免除制度を申請したい人の中には「申請したら上司から叱責されるのでは?」「利用したら嫌がらせ受けるのでは?」と心配する人も少なくありません。

なお、育児介護休業法は法律であるため、申請されれば会社はこれを拒否することはできませんし、「不利益な取り扱いの禁止」についても定められています。

例えば、残業免除申請をしたことを理由に、解雇はもちろんのこと、ハラスメント行為・嫌がらせ行為はすべて違法行為となります。

最近は育児に対する理解も社会的に広まってきましたが、もし残業免除制度を申請したことで不利益な扱いを受けたときは、最寄りの労働局に相談してみましょう。

まとめ

仕事と育児の両立というと「時短勤務制度」を利用する人が多いと思いますが、「残業免除制度」のように仕事の終わり時間(終業時刻)が決まっているだけでも、育児含めて1日のスケジュールが立てやすくなります。

また収入面の影響も少ないことを踏まえると、勤務先と子供の保育園、自宅が近いところにあり、比較的時間的な余裕がある場合は、「残業免除制度」の利用を検討してみてはいかがでしょうか?

一番大事なので男性・女性と性別に関わらない「仕事と育児の両立」ですので、まずが残業免除制度の利用については子育てする夫婦で話し合うことから始めて見てはいかがでしょうか?

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