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起業・副業の前に知っておきたい!会社員と個人事業主の社会保険制度の違い【年金制度編】

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起業・副業の前に知っておきたい!
会社員と個人事業主の社会保険制度の違い【年金制度編】

人生100年時代または生涯現役と言われているように、働き方に対する価値観も大分変わってきました。最近では会社員の副業も解禁されており、また自分自身の人生目標を設定し、会社員の方が個人事業主として起業することも珍しくありません。(著者もそのうちの一人です)
ただし、会社員の方が起業する際には、将来に対する不安はどうしても付き物です。特に家族がいる方であれば、家族を養いながらの起業となるため、できる限りの不安材料は払拭しておきたいところです。今回はこれから起業を目指す会社員の方向けに、会社員と個人事業主の年金制度の違いについて、詳しく解説していきます。

※この記事の信頼性
◆著者自身が、会社員から個人事業主として起業しており実際に体験
◆社会保険労務士として、社会保険や年金制度のプロとして解説!

会社員の年金制度は手厚い

まず、年金制度においては会社員が最も保障内容が充実しています。 実は年金制度というのは労働と密接に関わっており、会社員のみが加入できる厚生年金保険そのものが戦前に労働者確保のために作られたこと制度であり、戦後においても日本が高度経済成長期に第二次産業を中心として発展してきた時代背景をもとに、日本の企業においても人材確保のために「終身雇用制度・年功序列賃金・新卒一括採用」という人事制度を用いてきたことや、国としても経済=企業の発展を支えるために、会社員に重点をおいた年金制度を整備してきたものと考えられています。
会社員と個人事業主との年金制度の違いについて、以下の表で簡単にまとめてみましたので、事前に確認しておくと良いでしょう。

配偶者の年金保険料にも影響がある

また起業する本人だけではなく、結婚されていて配偶者がいるとなると、配偶者の年金保険料にも影響で出てくるので注意が必要です。
具体的に言えば、国民年金の加入者は第1号被保険者(個人事業主)、第2号被保険者(会社員)、第3号被保険者(会社員の配偶者)に分かれており、理屈のうえからすると、国民皆年金である以上はどの被保険者も保険料を納付するのが当然と考えますが、実際は国民年金保険料については第2号被保険者(会社員)と第3号被保険者(会社員の配偶者)には納付義務はありません(第2号被保険者とその勤務先が厚生年金保険料というふうに形を変えて、配偶者分も含めて納付しているものと解釈されています)。
一方で、個人事業主とその配偶者についてはどうなるのでしょうか?この場合2人とも国民年金おける第1号被保険者となり、2人分の保険料を納付する義務が発生します。 つまり、夫婦世帯(夫が会社員、妻が専業主婦)を想定した場合、会社員の家庭では会社員である夫の1人分の厚生年金保険料を負担するだけで済みますが、個人事業主の家庭においては夫婦2名ともに国民年金保険料を負担することとなります。
なお、余談ですが厚生年金保険料は労使折半であり、つまりは会社員が負担する保険料と同額の保険料を会社が負担していることになります。この厚生年金保険料は基礎年金拠出金として一部国民年金の財源に充てられていることからすれば、企業が配偶者分の保険料を負担しているとも考えられます。よって企業側が保険料の半分を負担していることからすれば、企業に雇用されるか否か(働き方)によって、保険料負担に対する年金受給額(費用対効果)が大きく変わってくることになります。

具体的な違いをイメージしておくのが大事

会社員から起業して個人事業主となるには、年金制度においてはかなりデメリットがあるのは正直なところです。
年金制度だけに限定して言えば、結婚しておらず独り身であれば自分だけの決断で起業すること自体それほど難しくはありません。一方で結婚して配偶者がいるとなると、配偶者の年金にも影響してくるため夫婦間で十分な話し合いが必要となります。
話し合いのときには、具体的にどれくらいの影響が出てくるのかをきちんとシミュレーションしておかないと、後で後悔してしまったり、後の対策(資産運用や貯蓄方法)も間違ってしまったりするケースもあるので、十分に確認しておくと良いでしょう。ここでは独身者(独り身)の場合と夫婦世帯(片稼ぎモデル)の場合を想定して、具体例を挙げていますのでぜひ参考にしてみてください。

■独身者の場合

独身者(独り身)で月収を40万円と想定した場合、会社員の方が個人事業主も月2万円程負担が多く、40年間保険料を負担するとなると約960万円の負担増となります。一方で年金を65歳から20年間もらうとすれば、会社員の方が約2,100万円多く年金をもらえる計算となります。

■夫婦(片稼ぎモデル)の場合

次に、夫婦世帯(夫:働き手、妻:専業主婦)で月収を40万円と想定した場合、会社員家庭の方が個人事業の家庭より月5,000円程負担が多く、40年間では約240万円の負担増となりますが、年金を65歳から20年もらうとすれば、会社員家庭の方が約2,100万円多く年金をもらえる計算となります。
独身者の場合と比べると、保険料負担の差が(960万円⇒240万円)小さくなったにも関わらず、もらえる年金額の差は(2,100万円⇒2,100万円)変わらないこととなります。これが配偶者である妻の保険料負担があるかないかの差となります。

 

国民年金については保険料や年金受給額は1年毎に若干変わりはしますが、それほど大きな変動もありません。一方で厚生年金保険は収入によって負担する保険料ともらえる年金額が変動するため、より具体的に年金額をシミュレーションしたい方は、上記図をイメージしながら検索サイトで調べてみるのも良いでしょう。(著者のオススメとしては、三井住友銀行の年金シミュレーションが簡単でわかりやすいかと思います。)

自由な「時間と資産設計」が個人事業主の魅力

 一方で、個人事業主の視点で考えれば、負担する保険料が少ない分、その浮いた保険料をもとに会社員と同じ年金をもらおうとすれば、別の方法(iDeCoや民間保険への加入…etc)で資産運用・資産設計をしなくてはなりませんが、これは逆に言えば個人事業主の場合は自由に資産運用・資産設計ができることを意味します。
会社員の厚生年金保険は保障の面では魅力的ではありますが、保険料が収入と連動しており、かつ強制的に給与からチェックオフされるため、自由に資産設計がしずらいというデメリットがあります。また会社員は労働時間という会社に制約される時間もあり、家事・育児は配偶者がワンオペで行うケースも少なくありません。
この点、個人事業主の場合は会社に制約される労働時間はないため、配偶者と家事育児の連携を取りながら、夫婦共働きとすることで世帯としての収入を増やしていく方法も可能です。
著者である私自身も過去は会社員として働いており、妻は専業主婦で家事・育児をワンオペで行っていましたが、私自身が個人事業主として起業した一方で、妻自身も仕事に復帰したいという想いもあり、現在は夫婦共働きとなり以前よりも世帯収入は増えました。また会社員時代とは違い、通勤時間含めて労働時間の制約がないことから、子供の保育園の送り迎えができたりと時間についてはかなり自由になりました。
会社員でも個人事業主でも仕事に対する悩みはつきものですが、お金と時間を自分の裁量権で使えるのが、個人事業主の最大での魅力ではないでしょうか。

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