社会保険・年金制度

【社労士監修】副業している会社員の社会保険はどうなるのか?

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【社労士監修】副業している会社員の社会保険はどうなるのか?

会社員として会社で働くとなると、入社と同時に健康保険・厚生年金保険に加入するケースが大半であり、その際の社会保険料というのは毎月給料から天引きされます。

一方で「副業」で本業以外で収入を稼ぐ場合、社会保険の取り扱いについては、あまり知られていないところであり、

本業先で健康保険・厚生年金保険で加入しながら、いざ副業をするとなると、

「あれ?健康保険・厚生年金保険は副業先でも加入するの?」
「起業したときは国民年金や国民健康保険にも加入しないといけないの?」

と、社会保険の加入について悩まれている方も多く、そのため副業に躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか?

今回記事では、副業時における社会保険の加入方法について、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事でわかること】

「副業時の社会保険への加入方法がわかります!」

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会社員の個人事業主の社会保険の違い

まず最初に、会社員と個人事業主とでは加入する社会保険が異なるため、その点を整理していきましょう。

会社員が加入する社会保険

会社員の方が加入する社会保険は主に以下のとおりです。

《健康保険》
健康保険は業務中や通勤中以外での日常生活におけるケガや病気、または出産、死亡に対する保険制度であり、ケガや病気における治療費の一部補填や、休業補償、また出産一時金などの給付金の支給が行われます。会社員の場合は、勤務先経由で健康保険に加入することとなりますが、保険料は従業員と会社との労使折半となります。

《厚生年金保険+国民年金》
また健康保険と同時に加入するのが厚生年金保険であり、厚生年金保険は主に老後の生活保障となる保険制度です。毎月保険料(労使折半)を納めることで、基本的には65歳から老齢厚生年金を受け取ることができます。また会社員の方は二階建て年金のため、その基礎となる国民年金にも加入する(保険料負担なし)こととなり、老齢厚生年金と同時に老齢基礎年金も受け取ることができます。

《雇用保険》
毎月保険料を負担することで、失業した際に「基本手当(失業手当)」を受け取ることができる保険制制度となります。それ以外にも育児休業期間中の給付金や60歳以降の減収に伴う給付金などもあります。

《労働者災害補償保険》
通勤中や業務中の事故によるケガや病気、また障害・死亡などに対する保険制度となります。労災保険は労働者保護を目的としているため、通勤中・業務中での事故を対象として、治療費の補填や休業補償などを行っています。通勤中・業務中以外のケガや病気については先述したとおり健康保険の対象となります。

個人事業主が加入する社会保険

一方で個人事業主の方が加入する社会保険は、会社員の方とは異なります。

《国民健康保険》
ケガや病気による休業、または出産、死亡に対する保険制度である点は健康保険と同様ですが、会社員と異なり、個人事業主には労災保険という制度がないことから、国民健康保険では業務上や通勤中の事故によるケガや病気も対象としています。また保険料についても健康保険で労使折半ですが、国民健康保険では保険料は全額負担となります。

《国民年金》
国民年金は主に老後の生活保障となる保険制度です。毎月保険料を納めることで、基本的には65歳から老齢基礎年金を受け取ることができます。ただし会社員とは異なり厚生年金保険へは加入できず、また保険料は全額自己負担となります。

《雇用保険・労災保険》
個人事業主の場合は、労働者すなわち会社に雇用されるという概念がないため、雇用保険に加入することができません。また労働者(会社に雇用される者という立場でもないため、労災保険への加入もできません。

副業時の社会保険への加入方法

先述したとおり会社員と個人事業主とでは、それぞれ加入する社会保険が異なります。また副業の仕方によっても社会保険への加入方法が異なるため、副業のパターンごとに社会保険への加入方法を紹介していきます。

会社員が個人事業主として副業する場合

会社員で働いている場合、健康保険・厚生年金保険にすでに加入しているため、個人事業主として副業する場合は社会保険への加入手続きは必要ありません。

原則として個人事業主の場合、国民健康保険に加入することになりますが、この国民健康保険については健康保険の加入者は対象外となっており、二重加入とならないうよう規定されています。

また個人事業主は国民年金にも加入することとなり、国民年金第1号被保険者として保険料を負担することとなりますが、会社員として厚生年金保険に加入している場合は国民年金第2号被保険者として国民年金にも同時加入しているため、この場合も二重加入とならないよう、個人事業主=国民年金第1号被保険者として新たに国民年金に加入できないようになっています。

会社員の方が会社員として副業する場合

あまり現実的ではないかもしれませんが、本業が会社員の方で別の会社でも会社員として働く場合は二重で社会保険に加入する場合があります。

《健康保険・厚生年金保険》
本業と副業先の2つの会社で健康保険と厚生年金保険が適用される場合は、2つの会社で同時に加入することになり、本業の会社を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出することになります。保険料については2つの会社の給与から差し引かれることになりますが、その分将来もらえる年金や健康保険における休業給付も増えることになります。

《雇用保険》
雇用保険については、二重加入することができず、基本は本業(給与が多い方)の会社で雇用保険に加入することになります。

《労災保険》
労災保険については、加入というよりは労働者として会社に雇用されれば強制的に適用されるため、2つの会社で労災保険の適用を受けることができます。

会社員の方がパート・アルバイトとして副業する場合

会社員の方がパート・アルバイトとして副業する場合は、少し複雑となるので、各保険制度に沿って解説していきます。

《健康保険・厚生年金保険》
パート・アルバイトの社会保険については、働く時間や日数また収入等の条件があり、条件を満した場合は社会保険に同時加入となる場合があります。健康保険・厚生年金保険におけるパート・アルバイトの加入条件は、
1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上であること、
②1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が、一般社員の4分の3未満の場合は
週の所定労働時間が20時間以上であること
・1年以上雇用が見込まれること
・賃金の月額が8.8万円以上であること
・学生でないこと
・従業員が常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていることの5つの条件を満たす必要があります。もしパート・アルバイトとしても健康保険・厚生年金保険に加入するようであれば、本業の会社を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出することになります。《雇用保険》
雇用保険への加入条件は、

1週間の所定労働時間が20時間以上あること
・継続して31日以上の雇用される見込みがあること

となりますが、仮に条件を満たしてパート・アルバイトとして雇用保険へ加入することとなっても、二重加入ができないため、この場合は本業先(給与の多い方)の会社で引き続き雇用保険に加入することとなります。

《労災保険》
労災保険については、加入というよりは労働者として会社に雇用されれば強制的に適用されるため、2つの会社で労災保険の適用を受けることができます。

健康保険・厚生年金保険の二重加入は自分で手続き

本業と副業と2つの会社で健康保険・厚生年金保険に加入することとなる場合は、自分自身でメインとなる会社を選択して手続きを行う必要があります。

手続きについては、まず「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」と「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を準備し、メインとなる会社を含むすべての会社の名称や月額報酬などを記入します。※用紙は日本年金機構のHPよりダウンロードすることができます。

書類の準備ができたら、メインに選択した会社を管轄する年金事務所または健康保険組合に書類を提出します。なおこの場合は副業を開始してから10日以内に提出する必要がある、予め準備しておくことをお勧めします。

まとめ

副業における社会保険への加入方法については、会社員の方が個人事業主として起業する場合は特段の手続きは必要ありません。今まで社会保険の加入方法がわからず、副業を躊躇していた方もいると思いますが、これを機に自分のやりたいことを仕事にしてみてはいかがでしょうか?

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