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【社労士監修】2022年10月改正版「育児休業期間中の社会保険料免除はいつまで?」
子供が生まれて育児をするとなると、育児に専念するために育児休業(育休)を取得する人は多く、最近では女性だけではなくて男性の育児休業取得も注目を集めるようになりました。
実際に育児休業を取得する際は「いつから仕事を休んでいつ復帰するのか?」「休んでいる場合の収入はどうなるのか?」といったように、育児休業期間=時間の問題と、育児休業給付金=お金の問題に目が奪われがちですが、もう1つ重要なのが、育児休業期間中の社会保険料免除制度になります。
社会保険料が月収(額面)の約15%前後を占めているからすれば、非常に大事な話ではあるのですが、実際に起きている問題としては
「同じ2週間の育休でも月末を跨がないと、保険料は免除されないの?」
「月末に育休を取れば、賞与分の保険料も免除されるの?」
といったことが挙げられ、育児休業を取得するタイミングによっては、保険料が免除されたり、免除されなかったりします。
今回は育児休業における保険料免除について詳しく解説していきますので、これから育児休業を取得しようと考えている方はぜひご参考ください。特に男性の方で短期間の育休を取得予定である方は必見です!
【この記事でわかること】
「育休期間と取得時期で保険料免除が決まります!」
「2022年10月の法改正による変更点がわかります!」
社会保険料免除について
社会保険料免除については、育児休業や介護休業を取得する場合、その休業期間中の健康保険料・厚生年金保険料を免除する制度になります。この健康保険料と厚生年金保険料は労使折半であり、会社が保険料を納付する義務があります。また従業員が払うべき保険料は、会社から支払われる給料から前月分の健康保険料と厚生年金保険料が自動的にチェックオフ(控除)される仕組みとなっていますが、これが育児休業の期間中は全額免除となります。
実際に免除となる期間は、「育児休業を開始した日の属する月」から「育児休業を終了する日の翌日に属する月の前月まで」となります。通常、育児休業は子供が1歳になるまでの期間を対象としていますが、保育園に入所できない等の場合は、1歳6ヶ月または2歳になるまで延長され、延長された期間も社会保険料は免除となります。
※女性の場合は産前産後休業中の社会保険料も免除になります↓
社会保険料はどうやって計算されるのか?
社会保険料は労使折半のため、従業員負担分は給与からチェックオフされ、会社がまとめて納付する義務を負います。そのため社会保険料は高いと思われる方でも、実際どのように計算されているのかを知っている方は少ないかもしれません。実際に皆さんの給料からチェックオフ(控除)されてる社会保険料については、以下のとおり計算されています。
【社会保険料の計算式】
- 健康保険料=標準報酬月額× 健康保険料率
- 厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率
まず健康保険料率については、健康保険組合によって料率は異なり、協会けんぽで加入している場合でも都道府県によって料率は異なります。また 40歳から64歳までの人については 介護保険料も含まれるため保険料が割増となっています。一方で厚生年金保険料率については、会社に雇用されている会社員であれば一律同じ料率となります。
また標準報酬月額というのは、保険料を計算する際の基礎となる金額を言います。具体的に言えば、月収のランク(範囲)に応じて一律に定めらている金額であり、月収に比例して上がったり下がったりしますが、実際には月収(額面)と同等の金額が設定されています。
【標準報酬月額の具体例】
- 月収(額面)290,000円~310,000円⇒標準報酬月額300,000円
- 月収(額面)395,000円~425,000円⇒標準報酬月額410,000円
もう少し具体的に知りたい方は、【全国健康保険協会HP】を見てみると良いでしょう。
社会保険料が月収(額面)に占める割合は15%
皆さんは「社会保険料が月収(額面)に占める割合がどれくらいか?」を考えたことはありますでしょうか?実際に結構な金額が給与からチェックオフされているので、ここでは会社員の人を想定して、月収ごとによる社会保険料負担額を以下のとおり一覧にしてみました。
ご覧のとおり、月収(額面)に占める割合は約15%ということがわかります。
ちなみに健康保険料率については、加入先が「健康保険組合」か「協会けんぽ」かによって異なりますし、また「協会けんぽ」の場合でも都道府県によって異なりますが、健康保険料率はそれ程差はなく、40歳~64歳の場合の健康保険料率は12%前後(自己負担分は半分の6%前後)、それ以外の年齢の場合の健康保険料率は10%前後(自己負担分は半分の5%前後)となります。一方で厚生年金保険料率については、会社員であれば一律同じであり、厚生年金保険料率は18.3%(自己負担分は半分の約9%)となります。
・40~64歳の場合
健康保険料率(自己負担分)が6%前後+厚生年金保険料(自己負担分)が約9%=約15%
・上記以外の年齢の場合
健康保険料率(自己負担分)が5%前後+厚生年金保険料(自己負担分)が約9%=約14%
保険料免除は育児休業のタイミングによって異なる
これだけ月収に占める割合が大きい社会保険料ですが、実際に育児休業を取得するタイミングで免除されたり、免除されなかったりするため注意が必要ですので、具体的を挙げながらその違いについて詳しく見てみましょう。今回の具体例は男性の方が育休を取得するケースで多い「2週間の育休」を想定して説明していきます。
2週間の育休を月を跨がずに取得する場合
例えば、3月1日~3月14日の2週間に育児休業を取得した場合、社会保険料の免除期間は、育休を開始した月(3月)から始まり、育休を終了する日の翌日(3/15)が属する月の前月(2月)までとなります。つまり免除期間の開始月よりも終了月が過去に遡ってしまうため、免除期間はマイナス、つまり社会保険料は免除されないこととなります。
2週間の育休を月を跨いで取得する場合
一方で、3月21日~4月3日の2週間に育児休業を取得した場合、社会保険料の免除期間は、育休を開始した月(3月)から始まり、育休を終了する日の翌日(4/4)が属する月の前月(3月までとなります。つまり免除期間が3月に始まり3月に終わるので、免除期間は1ヶ月、つまり社会保険料が免除されることになります。
月末1日だけの育休取得でも保険料は免除
極端に言えば、月末に1日だけ育休を取得とした場合、社会保険料の免除期間は、育休を開始した月(3月)から始まり、育休を終了する日の翌日(4/1)が属する月の前月(3月)までとなるため、社会保険料は免除されることとなります。
また社会保険料が免除される月というのは、月収だけではなくて賞与(ボーナス)分の社会保険料も免除されることとなるため、実際に社会保険料の免除を目的として、賞与月の月末に合わせて短期間の育児休業を取得する人もいます。
この点については、本来「育児休業」というのは育児を目的として、長期間にわたり仕事を休むことを前提としており、月末1日だけの休みを「育児休業」と言うには疑問が残るところではあるものの、現行法においては取得日数の最低条件がないため、1日だけの育児休業も取得可能にはなっています。
しかし、この点は育児休業の本来の目的から逸れてしまっているということもあり、2022年10月からは法改正により一部保険料は免除されないことなります。
2022年10月の法改正による変更点
実際に、月末1日のみの育休取得や、賞与月に合わせて育休取得をするといった保険料免除を目的としたケースもあるため、本来の育児休業の目的に沿うよう、今回保険料免除の内容が以下のように改正されることとなりました。
【法改正のポイント①】
育児休業を開始した日が属する月と終了する日の翌日が属する月が異なる場合
⇒育児休業を開始した日が属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までを保険料の免除期間とする
【解説】この法改正については、現行法と内容は変わらず、育児休業期間に月末が含まれていれば、社会保険料が免除されることになります。
仮に月末1日のみであったとしても免除となりますが、後述する賞与については別途条件が改めてに設定されているので、あくまでも月末1日でも免除されるのは月収に応じた社会保険料のみとなります。
【法改正のポイント②】
育児休業を開始した日が属する月と終了する日の翌日が属する月が同一月である場合
⇒育児休業期間が14日以上の場合はその月の保険料を免除する
【解説】これは今まで育児休業が1ヶ月に満たない場合、その期間内に月末を含んでいれば保険料が免除され、月末を含まなければ保険料が免除されなかったという不公平感を無くすため、仮に育休期間が1ヶ月に満たず月末を含んでいなかったとしても、14日以上の育休期間があればその月は保険料を免除がされるようになります。
【法改正ポイント③】
賞与から保険料が免除される場合
⇒育児休業期間が1ヶ月を超えている場合は、保険料を免除する
【解説】今までは月末1日だけ取得していた場合も、賞与分の社会保険料が免除されていましたが、育児を目的とした育休取得ではなく、社会保険料免除を目的とした育休取得であると考えられ、その点を是正するために、育児休業期間が1ヶ月を超えていることが条件となりました。
例えば、5月31日から6月13日までの2週間のみの育児休業期間の場合は、今までは5月分の賞与については保険料免除の対象となりましたが、法改正後は1ヶ月を超えていないため、保険料免除とはなりません。
最後に
実際の社会保険料免除の手続きは会社経由で行われるため、特に会社から言われなければ気づきにくい点でもありますが、社会保険料自体が給与に占める割合が高く、また育休期間(長さ)や育休の取得タイミングによって、免除されなかったりするケースがあるため注意が必要です。
もちろん育児休業自体は育児のための休業であり、実際に取得する夫婦間でよく話し合ったうえで取得するのが一番ですが、育児休業中の収入が少しでも気になる方は、社会保険料免除の制度を知っておいて損はありませんので、この点も含めて育児休業の取得を検討されてみてはいかがでしょうか?
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