目次
【社労士監修】個人事業主の妊婦さんのための「産前産後期間の保険料免除」
男性の育休取得が進んでいる中で、育児休業とは性別に関わらず会社員を対象にした制度であり、育児休業期間中の社会保険料は免除となります。
また女性だけに限っていえば、妊娠中や出産直後は「産前産後休業(産休)」を取得する人が大半であり、もちろん産休中の社会保険料も免除となります。
ただし、産前産後休業というのも会社員を対象にした制度であることから、個人事業主・フリーランスの女性の方には、そもそも世間で言われている「産休」というのはないため、
「妊娠・出産で仕事を休んでしまうと、収入が減ってしまう」
「収入が減るので休みたくても、休めない」
悩まれる方も多いのではないでしょうか?
この悩みを解消するため、今回記事では個人事業主・フリーランスの女性向けに「国民年金保険料の産前産後機関の免除制度」をご紹介します。きとんと手続きすることによって国民年金保険料を約6万5千円も節約できるので、ざひ確認してみてください!
【この記事でわかること】
「国民年金保険料が約6万5,000円も節約できます!」
国民年金保険料の「産前産後期間の免除制度」とは
国民年金保険料の「産前産後期間の免除制度」というのは2019年4月からスタートした制度であり、それまで産休中の社会保険料免除というのは、会社に雇用されている女性のみが対象でしたが、働き方改革とともに、女性の個人事業主やフリーランス等もその対象範囲が広がりました。
今まで、個人事業主やフリーランスの女性は、妊娠・出産で仕事ができない期間も国民年金保険料などの社会保険料は支払う必要があり、収入がない中で大きな負担となっていましたが、この免除制度を利用することで、約4ヶ月分の国民年金保険料が免除されることになりました。
国民年金の「第1号被保険者」が対象
日本では20歳以上60歳未満の人は、老齢基礎年金を受給するために国民年金に加入することが義務付けられており、以下の3つのいずれかのかたちで加入することとなります。
- 第1号被保険者
20歳以上60歳未満の自営業者、学生および無職の方とその配偶者
※第2号被保険者、第3号被保険者となる人は除きます。- 第2号被保険者
厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員- 第3号被保険者
第2号被保険者に扶養されている配偶者
※原則として年収が130万円未満の20歳以上60歳未満の人が対象
ここで大事なのが、産前産後期間の保険料免除」の対象となるは国民年金における第1号被保険者のみであり、個人事業主・フリーランスとして働いている女性がすべて保険料免除の対象とはならない点です。
というのは、個人事業主・フリーランスとして働いている女性の中でも、会社員として働きながら副業として行っている場合や、夫の扶養に入りながら働いている場合もあり、その場合は第2号被保険者、第3被保険者に該当している可能性があります。
なお、第2号被保険者の場合は厚生年金保険に加入することになり、厚生年金保険料を負担するため国民年金保険料を個別に負担することはなく、また第3号被保険者については国民年金保険料の負担はありません。
つまり、自分自身が国民年金の第1号被保険者として、国民年金保険料を負担していることが前提となります。
保険料の免除期間は4カ月
保険料の免除期間は、出産予定日が含まれる月の前月から起算して4カ月間となります。
出産後に手続きをした場合は?
なお、一般的に出産予定日が決まると、後述する手続きによって保険料免除を受けることができますが、事情によっては出産後に手続きをする場合もあり、この場合は出産日が含まれる月の前月から起算して4カ月間となります。
出産日が予定よりも前倒し・遅れた場合は?
また出産日が予定日よりも、月を跨いて前倒しになったり遅れたりするケースもありますが、その場合も免除期間に変更はなく、出産前に手続きをする場合は「出産予定日」、出産後に手続きをする場合は「出産日」を基準として4ヵ月となります。
多胎妊娠の場合は?
双子やそれ以上の多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が含まれる月の3ヶ月前から起算て、6ヶ月間の国民年金保険料が免除となります。
保険料免除の手続き方法
「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」については、妊娠・出産したら自動的に免除となるわけではなく、加入者である第1号被保険者自らが届出を行う必要がありますので、簡単に手続きの流れを紹介します。
手続きの流れ
- 出産時期が近づいてきたら、住民登録をしている各市役所の窓口へ届け出ます。
※出産予定日の6ヵ月前から届出が可能です。 - 市役所へは「国民年金被保険者関係届書」と「母子手帳」を提出します。
※届書の用紙は市役所窓口に置いてありますが、日本年金機構HPでもダウンロードできます
※郵送での届出も可能な自治体もあり、事前に市役所に確認しておくと良いでしょう
節約できる金額は約65,000円
もし届出をしなかった場合は、保険料免除を受けることができないため、妊娠や出産で仕事ができない期間も国民年金保険料を支払い続けることになります。
国民年金第1号被保険者の1カ月当たりの保険料は約16,500円なので、届出をした場合と届出しない場合とでは、4ヶ月分の保険料として約65,000円もの差が出てしまうため、忘れずに届け出しましょう。
出産後でも手続きができます
保険料免除の手続き自体は、妊娠・出産によって仕事ができない期間の保険料を免除するという主旨から、出産前に届け出ることを前提としていますが、事情によって出産前に届け出ることができないケースも想定されますが、出産後に届出することも可能です。
この場合、すでに納付した保険料は還付されますし、また保険料の前納制度を利用して一括して保険料を納付している場合も免除期間中の保険料が還付される仕組みとなっています。
ただし保険料免除申請にも時効(2年)の問題があるので、遅れすぎには注意しましょう。
保険料免除制度をぜひ利用しましょう
近年の働き方改革によって、働き方の多様化が進み、徐々にではありますが個人事業主やフリーランスととして働く女性も増えてきています。
一方で個人事業主やフリーランスの場合は、妊娠・出産で仕事ができないとなると収入がなくなってしまうため、いくらでも負担を減らすことが大切ですので、ぜひ保険料免除制度を利用することをオススメします。
また身の回りにフリーランスで仕事をしている妊婦さんがいれば、ぜひこの制度を教えてください。
この記事へのコメントはありません。