社会保険・年金制度

【社労士監修】夫婦共働きにおける子供はどちらの扶養?健康保険の認定基準について解説

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働き方改革による働き方の多様化が進み、在宅勤務やリモートワークなどの働き方が可能な時代となりました。

また働き方に対する価値観も変化し、昔は夫が会社員で妻が専業主婦の世帯が多かったですが、今で夫婦共働き世帯も増えており、夫婦で一緒に仕事をしながら家事・育児を分担している家庭も多いのはないでしょうか?

一方で、夫婦共働きの場合は二人とも勤務先で健康保険に加入しているケースも珍しくなく、子供が生まれた場合に気になるのが「子供はどちらの健康保険で扶養となるのか?」という点であり、

どちらか年収の多い方の健康保険で扶養となるのかしら?
年収があまり変わらない場合はどっちの健康保険で扶養となるのかな?

と悩まれる方は少なくありません。

今回はそんな悩みを解消します!

この記事では「夫婦共働きにおける子供がどっちの健康保険で扶養となるのか?」その認定基準について解説していきますので、ぜひご参考ください。

【この記事でわかること】
夫婦共働きにおける子供は、年収が多い方の健康保険で扶養なります!
※社会保険労務士による解説付き

令和3年8月に扶養となる認定基準が明確になりました!

夫婦共働き世帯は約70%

まず最初に、「夫婦共働きの場合、子供がどっちの健康保険で扶養となるのか?」と悩む方がなぜ増えて来ているのか簡単に解説します。

今だに日本は専業主婦家庭のイメージが強いとも言われていますが、実は2000年(平成12年)あたりから、専業主婦世帯よりも夫婦共働きの世帯が多くなってきており、今では全体の約70%を占めていることすると、すでに夫婦共働き世帯がスタンダードになっていると言えます。

I-3-4図 共働き等世帯数の推移

出典:男女共同参画局「男女共同参画白書(概要版) 平成30年版

一方で社会保険(健康保険)においては、従来の専業主婦家庭をモデルとして設計されていることから、社会保険(健康保険)における子供の扶養については、今まで会社員として健康保険に加入している夫の扶養に入ることが当たり前と考えられてきましたが、夫婦共働きの場合だと2人で個別に健康保険に加入することになるため、どっちの健康保険で扶養に入るのか判断に迷うケースは少なくありません。

つまり、夫婦共働き世帯がスタンダードな時代において、従来の社会保険(健康保険)の仕組みがミスマッチを起こしていることが、皆さんが悩む大きな原因ということになります。

なお、この点について厚生労働省において「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」が公表され、令和3年8月から夫婦共働きの場合における子供の被扶養者認定基準が明確化されましたので、以下この点について解説していきます。

夫婦ともに健康保険へ加入している場合

夫婦共働きの場合、働き方によって社会保険への加入方法も異なってくるため、まずは夫婦ともに健康保険へ加入している場合(夫婦ともに会社勤めの場合)について解説します。

夫婦の年収差が「1割」を超える場合

今までは夫婦共働きの場合、子供については年収が多い方の健康保険で扶養に入るとされていましたが、何をもって「年収を多い」とするのかが不明確であったため、その基準が以下のとおり明確化されました。

「年間収入が多いほうの親の年収額」に対する「夫婦の年間収入の差額」の割合が、『1割超』の場合、『年間収入が多い親』の被扶養者とする。

例えば、年間収入が夫は500万円、妻は430万円の共稼ぎ家庭の場合、2人の年収差額は70万円となるので、年間収入が多い夫の年収の14%(70万円÷500万円×100)となり、差額が『1割超』となるため、子供は『年間収入が多い夫』の健康保険での被扶養者となります。

一方で年間収入が夫は500万円、妻は450万円の共稼ぎ家庭の場合、2人の年収差額は50万円となるので、年間収入が多い夫の年収の10%(50万円÷500万円×100)となり、差額は『1割を超えない』こととなります。

夫婦の年収差が「1割以下」の場

年収差額が『1割を超えない』=『1割以下』の場合についても、以下のとおりその基準が明確化されました。

年間収入が多いほうの親の年収額」に対する「夫婦の年間収入の差額」の割合が、『1割以下』の場合、『主として生計を維持する親』の被扶養者とする。

例えば、年間収入が夫は430万円、妻は450万円の共稼ぎ家庭の場合、2人の年収差額20万円となるので、年間収入が多い妻の年収の約4.4%(20万円÷450万円×100)となり、差額が『1 割以内』となります。この場合は、子供は『主として生計を維持する親』の被扶養者とされるため、年間収入が多いのは妻ですが、『主として生計を維持する親』が夫なのであれば、届出することにより、子供は夫の被扶養者となることができます。

以前は「夫婦の年収が同等程度の場合」に『主として生計を維持する親』の被扶養者となる規定されていましたが、同等とされる基準が不明確であったことか、同等=『1割以内』と明確になりました。

年収は過去1年ではなく、今後1年の見込額

なお、夫婦の年間収入については、従来の認定基準では夫婦ともに「前年分の年間収入」で比較していましたが、令和3年8月からは「過去の収入」「現時点の収入」「将来の収入」等から算出した「今後1年間の収入見込額」で比較されることとなりました。

例えば、前年における夫の年収が400万円、妻の年収が430万円の共稼ぎ家庭の場合で、今年に入って夫が昇進したことより今後1年の年収として500万円が見込まれる場合は、夫の年収500万円と妻の年収430万円を比較することになります。

どちらか一方が国民健康保険に加入している場合

これまでは夫婦ともに会社勤めであることを想定していましたが、働き方の多様化により、夫婦のどちらかが個人事業主やフリーランスとして働ているケースも珍しくはありません。

この場合は、健康保険の加入者については年間収入(今後1年間の見込額)を、国民健康保険の加入者については直近の年間所得で見込んだ年間収入(今後1年間の見込額)を比較し、年間収入の多い方を『主として生計を維持する者』としています。

例えば、会社員である夫の年収が400万円、個人事業主である妻の年収が500万円であれば、この場合は年収の多い妻が『主として生計を維持する者』として、子供は国民健康保険において扶養されることなります。(年収が逆の場合は子供は夫の健康保険での被扶養者となります)

夫婦とも会社勤めの場合と異なり、年収1割の差は関係なく、単純に年収が多い方の社会保険(健康保険もしくは国民健康保険)で子供は扶養されることになります。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか?

仮に夫婦ともに会社勤めで健康保険に加入している場合のポイントとしては

今後1年間の年収見込額を計算する
・夫婦の年間収入の差額は1割を超えるか超えないか確認する
・年収の多い方の健康保険で子供を扶養する

となりますので、もし判断に迷われた場合は、改めて今回記事を参考していただければと思います。

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