社会保険・年金制度

夫婦共働きの配偶者控除・配偶者特別控除をわかりやすく解説

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働き方改革に伴い、働き方の多様化が進み、専業主婦の家庭が多かったのは昔の話であり、厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」によれば、現在は夫婦共働き世帯の割合は65%を超えており、実際に夫婦で夫婦共働きで家事・育児の分担している人も多いのではないでしょうか?

一方で税制や社会保険制度については、徐々に改正はされているものの、専業主婦家庭をベースに設計されていたことから、

実際に年末調整の時期になると、

配偶者控除と配偶者特別控除の違いってなんだろう?
夫婦共働きだけど、配偶者控除って適用できるのかな?

と悩まれる方も多いのではないでしょうか?

また配偶者控除や配偶者特別控除は節税メリットもあることから、控除が適用されるには「どれくらいの年収であればいいのか?」と悩んでいる人も少なくありません。

今回記事ではそんな悩みを解決します。

【この記事でわかること】
配偶者控除・配偶者特別控除の仕組みがわかります!
控除が適用されるための年収条件がわかります!
年収条件がわかることで節税対策もできます!

配偶者控除や配偶者特別控除の仕組みについて、
わかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

配偶者控除も配偶者特別控除も、給与所得者に扶養する配偶者がいる場合、その分給与所得者の税負担を軽減するために、課税所得金額(税金の対象となる所得)から一定金額を控除する仕組みとなります。

例えば、夫が会社員で妻が専業主婦(無職)の場合、夫の年収が700~800万円だとすると配偶者控除による節税額は約10万円程となります。

なお配偶者控除も配偶者特別控除も趣旨は同じですが、扶養する配偶者がいるだけで一律に同じ節税額となると公平性にかけてしまうため、配偶者の収入によって節税額も異なるようになっており、扶養度合いが強い(配偶者の年収が低い)場合は配偶者控除が適用され、扶養度合いが中~弱い(配偶者に一定の年収がある)場合は配偶者特別控除が適用されることとなります。

逆に言えば、配偶者にある程度の収入があると、扶養関係とはみなされないため、控除は適用されないこととなります。

配偶者控除(年収103万円の壁)

配偶者控除とは、先述したとおり、配偶者の年収が一定額以下であれば適用される所得控除となります。

控除が適用されるには条件があるので、その概要について解説していきます。

配偶者控除の適用条件

配偶者控除の適用を受けるには、その年の12月31日時点で次の要件がすべて当てはまる控除対象配偶者となります。

民法の規定による配偶者であること(市町村区の役場や婚姻届を提出して受理された者で、内縁関係は該当しない)
納税者と生計を一にしていること(遠方への送金も含み、生活の財源が共通していること)
年間の合計所得金額は基礎控除48万円以下であること
給与収入のみを得ている場合は103万円以下(基礎控除48万円+給与所得控除55万円)であること
青色申告者の事業専従者として、その年を通じて給与の支払いを1回も受けていないこと
白色申告者の事業専従者でないこと

つまり配偶者がパート・アルバイトなどで仕事をしており、給与が支払われている場合は、その給与が年収103万円以下であれば、配偶者控除が適用されることになります。なお配偶者が個人事業主として働いている場合は、所得金額(売上ー経費)が48万円以下であれば配偶者控除が適用されることになります)

この年収103万円以下という条件は、
「103万円の壁」とも言われています。

配偶者控除の適用金額

配偶者控除の適用金額は、配偶者を扶養している給与所得者(納税者である夫)の合計所得金額によって異なり、合計所得金額が900万円以下(給与収入に換算すると1095万円以下)であれば38万円が控除されますが、それを超える場合は配偶者控除は適用されないので注意が必要です。

給与所得者(納税者)の
合計所得金額
控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超~950万円以下 26万円 32万円
950万円超~1000万円以下 13万円 16万円
1000万円超 0万円 0万円

 

老人控除対象配偶者というのは、
その年の12月31日時点で70歳以上の配偶者となります!

配偶者特別控除(年収201万円の壁)

配偶者控除は給与所得者(納税者である夫)の所得金額で控除額が決まっていましたが、配偶者特別控除については配偶者(妻)の合計所得金額によっても段階的に控除額が変わってくる点が大きな違いとなりますので、その概要について解説していきます。

配偶者特別控除の適用条件

配偶者控除の適用を受けるには、その年の12月31日時点で次の要件がすべて当てはまる控除対象配偶者となります。

民法の規定による配偶者であること(配偶者控除と同じ)
納税者と生計を一にしていること(配偶者控除と同じ)
対象の配偶者がすでに配偶者特別控除を適用していないこと
青色申告者の事業専従者としてその年を通じて給与の支払いを1回も受けていないこと
白色申告者の事業専従者でないこと
年間の合計所得金額が48万円超~133万円以下であること(給与収入103万円超~201万円以下)であること

つまり、配偶者がパート・アルバイトなどで仕事をしており、給与が支払われている場合は、その給与が年収201万円以下であれば、配偶者特別控除が適用されることになります。なお配偶者が個人事業主として働いている場合は、所得金額(売上ー経費)が133万円以下であれば配偶者特別控除が適用されることになります)

配偶者特別控除は夫婦どちらか一方のみ適用とすることでき、
夫婦共には適用できないので注意しましょう!

配偶者特別控除の適用金額

配偶者特別控除の適用金額は、納税者である夫と配偶者である妻の両方の所得金額で変動してくるので、注意しましょう。

配偶者の合計所得金額 納税者本人の合計所得金額
900万円以下 950万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
45万円超~95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超~100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超~105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超~110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超~115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超~120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超~125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超~130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超~133万円以下 3万円 2万円 1万円

まとめ

配偶者特別控除を満額で適用したい場合、配偶者の年収は150万円以内に抑えることで38万円控除できますが、
151万円を超えると控除額が36万円以下になり、納税者本人の税負担が増えるため、結果的にパートアルバイトで得た収入の手取りが減るかもしれません。

その場合はパートアルバイトでの労働時間と収入のバランスを考えつつ、150万円を1つの基準として意識してみると良いですし、特に税負担を気にすることなく、働けるだけ働くのも選択肢の1つです。

また昔は専業主婦家庭が多く「夫が妻に給与明細を見せない」「妻は夫に内緒でへそくり」とよく言われていましたが、夫婦共働きの家庭ではお互いの収入を知ることで、税負担を軽減することができるかもしれませんので、この機会にぜひ夫婦でお互いの収入について確認し合ってみるのも良いかもしれません。

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