社会保険・年金制度

【社労士監修】副業・兼業の場合の雇用保険の加入条件について解説!

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【社労士監修】副業・兼業の場合の雇用保険の加入条件について解説!

 

近年の働き方改革により、私たちの働き方に対する意識も大分変化してきました。在宅勤務やテレワーク、またワーケーションといった取組みも見られるようになり、本業だけでなく副業・兼業といったパラレルキャリアの形成しながら働く人も増えつつあります。
また厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」でもあるとおり、以前までは副業禁止の風潮がありましたが、今では副業解禁・副業促進をしている企業も増えてきました。
今後より一層広まるである副業・兼業に対して、今回は副業・兼業時における雇用保険の加入条件について詳しく解説していきたいと思います。

雇用保険とは?

「雇用保険」とは、失業した場合における収入保障のための社会保険ですが、それ以外にも加齢や育児・介護により、雇用の継続が困難となった場合や収入が減少した場合が生じた場合に必要な収入保障を行うことで、労働者の生活と雇用の安定を実現するための社会保険となります。
雇用保険は、労災保険と合わせて労働保険とも呼ばれていますが、会社は従業員を一人でも雇用する場合には、原則として雇用保険に加入する義務があります。

雇用保険の加入条件

会社は従業員を雇用する場合は、原則として雇用保険に加入する義務があるためため、そこで雇用される従業員も必然的に雇用保険へ加入することとなります。ただし、雇用期間が短かったり、労働時間が少ない従業員については対象外となっており、従業員が雇用保険に加入する場合は労働時間と雇用期間の要件を満たす必要があります。

【雇用保険の加入要件】

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上雇用されることが見込まれること

つまり雇用保険については、正社員や契約社員、パート・アルバイト等といった雇用形態や呼称に関係なく、要件をを満たせば加入することとなります。
学生は原則として雇用保険に加入することはできません。

雇用保険加入時のポイント~副業・兼業~

ここでは副業・兼業をした場合に、どのような場合に雇用保険に加入できた、どのような場合に加入できないのか確認していきたいと思います。

勤務先での所定労働時間を確認

副業・兼業時の場合は、複数の勤務先で雇用契約を結び、その条件下で働くこととなりますので、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される場合はその時点で雇用保険に加入することとなります。

「所定労働時間」とは?
「1週間の所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書などにより、その従業員が「通常の週に勤務すべき」と定められている時間のことをいい、ここでいう通常の週とは、年末年始、夏季冬季休暇、祝祭日などを含まない週をいいます。

複数の勤務先で雇用保険が適用される場合

例えば、本業の勤務先と副業の勤務先の所定労働時間が、両方とも週20時間以上の場合、2つの勤務先で雇用保険が適用されることとなりますが、雇用保険については二重加入できないため、原則として、「その従業員が生計を維持するために必要な、主たる賃金をうけている雇用関係(勤務先)」において雇用保険に加入することとなります

【ケーススタディー】

  • 勤務先A社の所定労働時間・・・30時間/週 給料15万円
  • 勤務先B社の所定労働時間・・・25時間/週 給料20万円

【結論】

労働時間に関わらず、賃金の高い勤務先B社で雇用保険に加入する。

すべての勤務先で雇用保険が適用されない場合

例えば、本業の勤務先と副業の勤務先の所定労働時間が、両方とも週20時間未満の場合は、どの勤務先でも雇用保険に加入することができません。

【ケーススタディー】

  • 勤務先A社の所定労働時間…15時間/週
  • 勤務先B社の所定労働時間…15時間/週

【結論】

両方の勤務先において所定労働時間が「週20時間未満」のため、雇用保険に加入することができない

つまり、勤務先単位で見て、所定労働時間が週20時間以上の勤務先が1つでもあれば雇用保険に加入することができ、逆に1つもない場合は雇用保険には加入することはできないこととなります。同じ週30時間働いたとしても、本業15時間+副業15時間の場合と、本業20時間+副業10時間とでは、前者は雇用保険に加入することができず、後者は雇用保険に加入することができるため、現制度のおいてはアンバランスであることがわかります。

法改正による労働時間の通算

しかし、このようなアンバランスを解消する動きも出ており、直近の法改正では一定の条件を満たした場合には、所定労働時間を通算することで、週20時間以上となれば雇用保険に加入することができるようになりましたので、ここからは法改正の内容について触れていきたいと思います。

法改正の概要

前述したとおり、副業・兼業における所定労働時間の通算については、2022年4月1日より施行予定となっており、以下のように、いくつかの条件を満たす必要があります。

【雇用保険における労働時間通算の条件】

  • 2以上の事業主に雇用される、65歳以上の者であること
  • 1つの事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
  • 2つの事業主における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
    ※ただし1つの事業主における1週間の所定労働時間が5時間以上(予定)であること。
  • 労働者からの申し出があること

今回の法改正では高年齢者を対象としており、これは高年齢者雇用安定法に基づき、70歳までの雇用が努力義務として企業に課せられたことから、高年齢者の人がより柔軟に働けるようにするため、高年齢者における副業・兼業を後押ししたかたちとなります。

また、労働者からの申し出を条件としている背景には、雇用保険の負担の面もあり、雇用保険に加入するメリットと比較したうえで、労働者自身が最後判断する余地を残したものと考えられます。なお、現時点で検討段階の項目もあり、今後の詳細については厚生労働省からの通達等をチェックしておくと良いでしょう。

最後に

今回は副業・兼業における雇用保険の加入条件について解説してきましたが、今後はより一層柔軟な働き方が求められる時代となり、加入条件についても緩和される傾向にあると考えられます。現段階では高年齢労働者のみを対象としている所定労働時間の通算についても、一般の若い労働者へも拡大していくことが考えられ、今後の動向に注目しておくのが良いでしょう。

★労働基準法における副業・兼業の労働時間について知りたい方はこちら↓

★副業・兼業時における労災保険の休業補償について知りたい方はこちら↓

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