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【新しい働き方】辞めた会社に再就職、アルムナイ制度について解説! 

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【新しい働き方】辞めた会社に再就職、アルムナイ制度について解説!

働き方が多様化して、今ではずっと同じ会社に勤めるよりも、キャリアアップや仕事と生活との両立を求めて、転職する人が増えてきたように思えます。

私自身も転職経験がありますが、いざ会社を辞めると、

「会社を辞めるなんて裏切り者」
「育ててもらっておきながら恩知らず」

といったような外部からの声ってありませんか?

昔は終身雇用が当たり前で会社への忠誠心が求めらていた時代だったからこそとも言えますが、これからは日本の労働人口が急減する時代であり、会社の慢性性的な人材不足が問題化してくることから、会社も「いかに優秀な人材を確保するか?」が急務となっています。つまり、会社を辞めた社員(OB・OG)は考え方によっては即戦力とも言え、もはや会社と社員とが「一期一会」の時代が終わったとも言えます。

今回は退職した会社への再就職制度として、「アルムナイ」について解説していきたいと思います。今までの働き方とは違った新しい働き方とも言えますので、ぜひ参考にしてみてください。

【この記事でわかること】
「アルムナイ制度について理解できます!」

アルムナイとは?

アルムナイとは英語で「alumni」と表記され、「卒業生、同窓生」という意味があります。一般的には社内で「離職者、OB・OG」と言われていることが多いですが、海外企業では即戦力として一度自社を離れた退職者の中から優秀な人材を再雇用する動きがあり、この仕組みを「アルムナイ制度」と呼んでおり、自社を離れた退職者を「アルムナイ」と呼んでいます。

日本でも今後20年で労働力人口は1,200万人減少するとも言われており、日本企業は慢性的な人材不足となることから、最近この「アルムナイ制度」が注目されてきており、徐々にではありますが取り入れている企業も増えてきています。

退職者のキャリアアップを活用

異なる業種や異なる会社に転職することで、視野や価値観を広げてキャリアアップを図る人は少なくありません。

キャリアアップを数値化することは難しいですが、昔は同じ会社に長年勤めることで、100人に1人の人材、1,000人に1人の人材といったように社員としての希少性を高めていきますが、転職する場合は、A業種で100人に1人の人材、B業種で100人の人材として活躍できれば、100×100=10,000人の1人と人材なり、キャリアを複合化することでその希少性を高めることができます。

つまり、一旦自社を離れた退職者の多くは新たな業界や会社でキャリアアップを図ることになり、数年後には自社にとって必要な経験やスキルをもった優秀な人材となっている可能性は高いことになります。

なお、昔は退職者の情報を収集することが難しく、社員間同士のつながりでようやく入手できる程度でしたが、現在ではSNSなどで同僚と繋がったまま退職し、退職後もお互いの近況報告をし合うことも少なくありません。

こういった点に着目し、近年では退職者と良好な関係を維持・継続することによるメリットを考える企業も増えてきており、そして退職者との関係を維持・継続するためにコミュニティ(プラットフォーム)が「アルムナイ制度」となります。

アルムナイは社員同士の同窓会

アルムナイ制度は「退職者の同窓会」としての位置づけになります。

従来は退職者の情報を得ようとする場合、社員同士のつながり、すなわち人海戦術をもって情報収集することになりますが、社員の個人間のつながりを仕組み化したコミュニティが「アルムナイ」となります。

「アルムナイ」というネットワークを通じて、退職者の現在の勤め先や職業や近況状況などの情報を収集、管理することができ、退職後にどのような経験やスキルを身につけているのかを知ることができます。

つまり、自社における優秀な人材の確保をという目的において、退職者との関係を維持・継続していく(再雇用の門を広げておく)ための手段として「アルムナイ」が必要だとも言えます。

アルムナイ導入のメリット

ここでは、「アルムナイ制度」を導入することで、会社にどのようなメリットがあるのか、考えていきたいと思います。

低コストで優秀な人材を確保できる

アルムナイの最も大きなメリットとしては、低コストで優秀な人材を採用できるという点です。

通常、即戦力となる人材を募集するには、募集コストがかかり、時にはリクルーターに依頼することで、費用がかさむこともしばしばあります。

また、せっかく採用したとしても入社後の教育研修に費用や時間がかかったり、せっかく教育しても社内の雰囲気が合わず早期離職してしまったり、期待外れで仕事ができなかったりと、採用後のリスクというのも付き物です。

一方で「アルムナイ制度」を活用すれば、直接退職者のコミュニティにアクセスできるので、そこで退職者に対して直接募集を持ち掛けることが可能になります。また自社にいた経験もあることから、社内風土やルールをすでに理解していることから、教育研修の費用コストも抑えられますし、期待が外れる心配はありません。

退職者側から見ても、例えば育児のため一旦退職したものの、その後育児も一段落したことで再就職を考えた際に、アルムナイ制度を利用して会社に再就職できる制度があるということは非常に魅力的でもあります。

マーケティングとしての役割

2つ目のメリットしては、身近な社外者としての役割を持つ「アルムナイ」は、外部情報の収集に利用できるという点で、マーケティングとしての機能があることです。

例えば、自社の試作品について、実際にマーケティング調査を行うとなる外部委託等で費用コストが発生したり、また試作品の段階で社内から意見集約する場合、同じ業界で同じ会社からの意見集約となると、似たような価値観からか斬新な意見というのが少なく、あまり参考にならないケースもあります。

もし「アルムナイ」を活用することができれば、退職者(身近な社外者)のコミュニティーに対してマーケティングを行うことができるため、費用コストを抑えることもできれば、違う業界や会社から見た視点での意見集約もできるため、自社では気づけなかった斬新でクリエイティブな意見集約というのも可能になります。

アルムナイの導入事例

実際に「アルムナイ」を取り入れている企業はまだ少ないですが、ここでは実際の導入している企業とその概要について紹介していきます。

アクセンチュア

外資系コンサルティング会社のアクセンチュアでは、「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」がを導入しており、退職者を対象としたイベントや、再雇用の推進などが実施されています。また「アルムナイ・プログラム」にアクセスすることで、多数のメンバーとコンタクトを取ることが可能です。

なお、コンサルティング業界は転職が活発化している業界でもあり、退職者の再雇用も目的の一つとされていますが、何より退職者同士、または現職の社員と退職者とのネットワークが大事とされています。

参考:アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク

ヤフー株式会社

有名なヤフー株式会社では、アルムナイ・ネットワークとして「モトヤフ」というのがあり、退職者同士のネットワークの活性化を促進しています。

参考:ヤフー株式会社「モトヤフ」

サイボウズ株式会社

斬新な人事制度で有名なサイボウズ株式会社では、自社のエンジニアと交流できるイベント「Cybozu Meetup」が定期的に開催されており、アルムナイ(退職者)との交流イベントも開催しています。

参考:サイボウズ株式会社「Cybozu Inside Out」

これからの時代に必要な「アルムナイ制度」

昔であれば、退職した会社に戻ることは、余程の理由がない限り「許されないもの」という潜在的意識が強かったものですが、多様な働き方を実現するためにも、会社と社員は一期一会ではなく、その都度必要なときにお互いがマッチングできる仕組みづくりが大切です。

今回のアルムナイの制度は人材確保のみならず、マーケティングとしての要素もあったりと、会社にとっても多くのメリットがあり、導入している企業も増えつつあります。

「退職した会社へ再就職する」ことが当たり前の時代が、そこまで来ているのではないでしょうか?

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