社会保険・年金制度

【社労士監修】年金もらいながらパート・アルバイトは可能?知っておきたい年金が減額されない働き方

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【社労士監修】年金もらいながらパート・アルバイトは可能?知っておきたい年金が減額されない働き方

定年年齢の引上げや定年制度の廃止により、最近では「生涯現役」という言葉があるように、シニア世代でも働いている人が多くなってきています。また以前のように年金をもらって穏やかな老後生活というよりは、社会活動を通じて生きがいを求めている方も多いのではないでしょうか?今回は、シニア世代の方を対象に、年金をもらいながらも少し収入を稼ぎたい、働くことで生きがいを感じたい方に、年金をもらいながらの働き方について解説していきます!

働きがいを求めているシニア世代は多い

最近では生涯現役を希望しているシニア世代の方は多く、内閣府の統計調査「令和元年度 :高齢者の経済生活に関する調査結果」では65歳以上になっても働きたい方と思っている方が約60%、生涯現役で働きたい方はは約20%と、現代のシニア世代は非常に元気であり、働く意欲が高いことがわかります。

出典:内閣府「令和元年度 :高齢者の経済生活に関する調査結果」

質問:何歳まで収入を伴う仕事をしたいか?

回答:

  • 働けるうちはいつまでも20.6%
  • 80歳くらいまで4.8%
  • 75歳くらいまで11.9%
  • 70歳くらいまで21.7%
  • 65歳くらいまで25.6%

シニア世代の働き方、パートが3割

こちらも内閣府調査の「令和元年度:高齢者の経済生活に関する調査結果」では、高齢者の就業形態で最も多いのがパート・アルバイト、次いで個人事業主・・フリーランスとなっており、パート・アルバイトの割合は34%と、高齢者のうち3人に1人の割合となっています。シニア世代では体力面という要因ありますが、私生活とのバランスから比較的時間の融通がききやすい就業形態の方が、働きやすい環境とも言えます。

出典:内閣府「令和元年度 :高齢者の経済生活に関する調査結果」

質問:働いている就業形態は?

回答:

  • 個人事業主・フリーランス33.0%
  • 正規社員・職員・従業員13.9%
  • パート・アルバイト34.3%
  • 会社または団体の役員5.7%
  • 契約社員・ 嘱託社員10.6%
  • 派遣社員1.2%

知っておきたい在職老齢年金制度

シニア世代の方が年金をもらいながら仕事をする場合、注意が必要なのが「在職老齢年金制度」という仕組みです。この「在職老齢年金制度」というのは厚生年金保険独自の仕組みであり、簡単に言えば、年金をもらいながら働く人を対象として、働いたことによる収入がある場合は年金を減額もしくは支給停止するという仕組みです。
理屈のうえでは、年金制度そのものが加齢による稼得能力(収入を得る力)の喪失を補填するためのものなので、シニア世代で年金をもらえる人であったとしても、稼得能力があって収入を得ている人については、年金額を調整(減額または支給停止)するという意味になります。

■収入によってどれくらい年金が減額されるのか?

年金だけでは生活が心配だったため働いていたはずなのに、働いた収入によって年金が減額されてしまって元も子もなくなってしまうので、仕組みをしっかりと理解しておくことが必要です。
なお実際に調整される年金額は、「1カ月あたりの年金額(基本月額)」と「月収+年間賞与の1/12(総報酬月額相当額)」の合計額から一定額を差し引いて、2で割った金額が支給調整(減額)されます。

★計算式・言葉の定義を詳しく知りたい方はこちら↓

■在職老齢年金早見表

ここでは、早見表を作成しましたので、実際にどれくらいの年金額になるか確認しておくと良いでしょう。
なお、月収が30万円以上の場合は年金が支給調整される可能性が出てきます。逆に言えば30万円未満であれば年金が満額で受け取れる可能性が高いということになりますので、パート・アルバイトとして働く場合は、「月収30万円」というのが1つのキーワードとなります。

【表の見方】
全額支給される場合、一部減額されている場合、全額支給停止される場合とで3パターンで色分けしています。

  •    =年金が全額支給されます。
  •    =年金が一部減額されます。
  •  白 =は年金が支給されません

【ケーススタディ】

  • ケース①「縦列の総報酬月額相当額30万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「9万円(月額)の支給」となり、基本月額と変わらないため、年金が全額支給されます。
  • ケース②「縦列の総報酬月額相当額50万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「3万円(月額)の支給」となり、基本月額より低くなり、年金額が減額(6万円)されます。
  • ケース③「縦列の総報酬月額相当額60万円」と「横列の基本月額9万円」が交差する欄は「0万円(月額)不支給」となり、年金は支給されません。

★在職老齢年金について詳しく知りたい方はこちら↓

パート・アルバイトの場合はどうなるのか?

在職老齢年金制度の仕組みでは、働いた収入によって年金額が調整されますが、この収入とは会社員として働いた収入=厚生年金保険に加入ながら働いた収入となります。逆に言えば、個人事業主やフリーランスとして働く場合は、いくら稼いでも年金額には影響しません。
一方で、シニア世代の方がパート・アルバイトとして働く場合についてはどうなるのでしょうか?この場合については注意が必要であり「厚生年金保険に改めて加入することになるのか?ならないのか?」を基準にして考える必要があります。

結論から言えば、「厚生年金保険に加入する場合」は収入によって年金額が減額される可能性があり、「厚生年金保険に加入しない場合」は収入によっていくら稼いでも年金額には影響しません。
つまり、在職老齢年金制度とは厚生年金保険独自の仕組みなので、「老齢厚生年金をもらいながら厚生年金保険へ加入している人が対象」となる制度となります。

パート・アルバイトで厚生年金保険に加入する場合

近年はパート・アルバイトへの社会保険適用が拡大され、パート・アルバイトの方でも厚生年金保険に加入するケースというのが増えてきました。ただしパート・アルバイトの場合は正社員の場合とは異なり、厚生年金保険に加入できるための条件というのがいくつかあります。

・週の所定労働時間が20時間以上あること

・雇用期間が1年以上見込まれること

・賃金の月額が8.8万円以上であること

・学生でないこと

・常時501人以上の企業(特定適用事業所)

上の条件にすべて該当すれば、厚生年金保険へ加入することとなるため、在職老齢年金制度による年金減額の可能性が出てきます。(厚生年金保険は強制加入となるため、加入しないという選択はできません)
なお、今後の動向としてパート・アルバイトへの社会保険適用拡大はさらに進み、直近の年金改正でもさらに加入条件が緩和されることとなりました。採用された時は厚生年金保険の対象外であった人も、年金改正によって厚生年金保険の対象となる場合もあるため、自分が厚生年金保険の加入しているかどうか、今一度確認しておくと良いでしょう。

★パート・アルバイトの社会保険適用拡大について知りたい方はこちら↓

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