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ゼネラリストとスペシャリストとの違い、自分に合ったキャリア形成は?
よく、「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」は対義語として使われますが、一般的な会社では昇進していくに連れて、管理者候補ともなると、スペシャリストからゼネラリストから転換することにもなり、
「管理職にはならずに、もっと専門性を高めていきたい」
と悩まれる人も多いのではないでしょうか?
私自身も転職経験があり、転職前は総合職として「ゼネラリスト」として働いていましたが、転職後は専門職である「スペシャリスト」として働いており、かつ社会保険労務士(副業)として活動もしています。
今回記事では、私の経験も踏まえてスペシャリストとゼネラリストの違いについて解説していきますので、ぜひ自分のキャリア形成を考えるにあたり、参考にしてみてください。
【この記事でわかること】
「スペシャリストは仕事のプロフェショナルです」
「ゼネラリストは組織のプロフェッショナルです」
スペシャリストとは?
スペシャリストとは、専門性の高い知識を持ち、また専門分野に必要な資格や技能・スキルを有している人で、まさに特定の専門分野に特化して仕事をする人となります。
つまり仕事においては、特定の専門分野や専門領域に関する知識や資格、技能・スキルを身に着ける必要があります。
一般的に、スペシャリストを目指す人は
- 一つの物事に集中しやすい人
- 自分が興味や関心を持っていることを仕事に結び付けたい人
- 自分の力で仕事に挑みたい人
- 知的好奇心が強い人
が多いとも言われており、スペシャリストは自分の意志で仕事を進めたい気持ちが強く、資格取得を含めてスキルアップに自主的に行う人が多いのが特徴です。
ゼネラリストとは?
ゼネラリストとは、広範囲にさまざまな知識や技術・スキルを持っている人のことであり、ある一つの専門分野に特化するというよりは、広い視野を持ちながら仕事を進めていくタイプとなります。
仕事においては、その広い視野を持ちながら、会社における部門間の調整、また組織内の運営や人員の調整など管理職としての業務が多く、その範囲は多岐にわたります。
一般的にゼネラリストを目指す人は、
- 上昇志向がある人
- リーダーシップがある人
- コミュニケーション能力が高い人
- 広い視野で物事を考えたい人
が多いとも言われており、一般的な日本企業においてはゼネラリスト=マネジメントとも言われているとおり、部署やチーム全体を広い視野で見渡しながら、組織に与えられたミッションを達成できるかに重点を置きながら、仕事を進めて行くのが特徴です。
日本でゼネラリストが多い背景
冒頭でも少し触れましたが、日本の一般的な企業では、管理者候補としてゼネラリストとしての人材育成に重点を置いています。
その背景としては、
- 日本企業では組織秩序を重んじることから、部門間や社員間の調整役が必要不可欠であり、そのためより広い視野で組織を見渡せるゼネラリストが求められていたこと
- 新卒採用後は総合職として転勤による配置転換が多く、結果としてゼネラリストとしてのキャリア形成が一般化したこと
などが挙げられます。
この点について、転勤による配置転換は良くジョブローテションとも言われており、ゼネラリスト育成の手段とも言われていますが、転勤による配置転換の本質は「会社の人員調整」の観点で行われるものです。(※人員調整=各事業所における人員不足・人員余剰を上手く調整すること)
つまり、人員調整のためには転勤ができる人材を会社内で調達する必要があり、会社としては転勤を前提とした「総合職」として人材を採用する一方で、転勤の見返りとして「総合職」=「管理者候補」としての昇進コースを用意したというのが始まりです。
結果として、「総合職」として採用された人材は転勤による配置転換に伴い、その都度異なる部門での業務知識や経験が身に付くこととなり、「ゼネラリスト」としてのキャリアを自然と無意識のうちに積むこととなります。
よって演繹法により「総合職」=「管理者候補」、「総合職」=「ゼネラリスト」、つまりは「管理者候補」=「ゼネラリスト」としてのイメージ定着につながったとも言えます。
ゼネラリストに求められる能力・スキル
ゼネラリストに求められる能力は、
- 部門間調整のための高いコミュニケーション能力
- 広い視野と業務知識
- 組織目標を達成するための行動力
の3つとなります。
ゼネラリストすなわち管理職として組織を運営するためには、組織目標を達成するために自ら行動していくことが必要です。これは組織に与えられた目標や役割に従い、組織メンバーにその役割と業務を与えなくてはいけません。よく管理職となると「石」にもなったかように座ったままの人を見かけますが、座ったままではメンバーが動かないので、自ら行動・アクションを起こしていく必要があります。
また組織メンバーは十人十色であり、メンバーの特徴や長所・短所はそれぞれ異なりますので、それに適した役割と業務を与えるとなると、組織メンバーとのコミュニーケーションが必要不可欠となりますし、また業務を進めて行く中で他部門との連携も必要であり、知らない人とのコミュニケーション機会も増えていくので、高いコミュニケーション能力も必要となります。その際に他部門での業務知識を知っているだけでも役立つことが多く、広い業務知識というのも必要不可欠となります。
となります。
よく議論となるのが「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」のどちらが良いのか?といった点ですが、会社から求められている人材像が異なるため、ゼネラリストとスペシャリストを同じ土台で比較することはできません。
一般的な日本企業では、組織のヒエラルキー(役職ピラミッド構造)がカースト文化(身分制度)となっていることも珍しくなく、管理職である「ゼネラリスト」が能力的に優秀と思われがちですが、「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」で能力的な優劣はなく、管理職はあくまでも組織としての「役割」に過ぎないという点は覚えておくと良いかもしれません。最近では「スペシャリスト」=専門職用の管理職コースを導入する企業も多くなってきています。
良い・悪いもないことを理解しておく
先述した通り、どちらも優劣をつけることはできません。「ゼネラリスト」と「スペシャリスト」のどちらが良い・悪いということはありません。
ただし、新卒採用や中途採用でその業種で初めて働く場合は、スペシャリストを目指す方向で、まずは自分の専門性を磨いていくのが良いでしょう。
これは専門性を高めていくことで自分の強みが出来、社内で重宝されることはもちろんのこと、改めてキャリアアップのため転職しようとする場合にも活かせます。また社会人経験を積むに連れて、出産や子育て、また親の介護等の人生のライフステージにも変化が起こるため、その際は自分の働き方やワークライフバランスを見つめ直し、会社の管理職を目指すのであれば「ゼネラリスト」を目指すのも良いかもしれません。
いずれにしても、自分がどのような働き方を目指したいかが大切なポイントとなります。
プロフェッショナルとは?
少し余談となりますが、似たような言葉に「プロフェッショナル」という言葉を聞いた人もいるかと思いますが、プロフェッショナルとは、
- ある特定の専門分野に関しての知識・スキルや経験が非常に豊富である
- 専門知識だけではなく周辺知識も活用し、経験を活かしながら相手のニーズに合致したもの提供できる
ものとされています。
研究職であれば別ですが、ビジネスとなると相手のニーズに見合ったものを提供できないと、ビジネスとしては成立できません。つまり自分の専門分野を持って、相手の求めるものに対しても広い見識でコンサルティングができる、これがプロフェッショナルに求められる点です。
どちらもプロフェッショナルであることが大切
つまり、プロフェショナルの定義を踏まえれば、
ゼネラリスト:組織運営のプロフェッショナル
スペシャリスト:仕事のプロフェッショナル
とも言えます。
先述したとおりゼネラリストは管理職として組織運営に携わるので、組織運営に関する知識(人事・総務・法務・会計…etc)を身に着けながら、会社のニーズ(組織目標)や組織メンバーのニーズに合致したものを提供し、一方でスペシャリストは専門的な知識を身に着けながら、顧客のニーズに合致したものを提供していくことからすれば、両方ともプロフェッショナルと言えます。
つまり「ゼネラリスト」か「スペシャリスト」を比較するのではなく、どちらの場合でも「プロフェッショナル」であるか否かを基準に考える必要があります。
例えば「スペシャリスト」として働く場合も、プロフェッショナルを追求すればそれに応じて専門的知識・スキルが豊富となる一方で、追求しなければそうに応じたい専門的知識・スキルしか身につかないとも言えます。これは「ゼネラリスト」も同様です。
2つの違い(まとめ)
最後に現在の日本の雇用文化や働き方を踏まえて「ゼネラリスト」「スペシャリスト」の大きな違いについて、以下表にまとめてみました。
ゼネラリスト | スペシャリスト | |
会社におけるポジション | 管理職になり易い | 管理職になりにくい |
知識・スキル | 浅い・広い範囲 | 深い・狭い範囲 |
転職・起業・副業 | しにくい | しやすい |
ゼネラリストの特徴としては、その幅広い知識と社内における人間関係・コミュニ―ションによって、会社でも管理者候補として採用されるケースが多く、社内における管理職になり易いと言えますが、社内でしか通用しないスキルや人間関係というのも多々あり、転職・起業・副業をしようとする場合、そういった社内スキルは役に立たないことがしばしばあります。
一方でスペシャリストの特徴としては、一般の日本企業では管理者候補として採用されるケースはまだ少ないと言えます。この点についてはスペシャリストという専門職の価値が近年高まってきており、最近では専門職コースで採用されていたとしても管理者に昇進させる会社も増えつつあります。また専門的知識は社内外問わず通用する知識なので、ある程度の経験やスキルが身に就けば独立するという人も珍しくなく、また転職活動においても専門的知識を持っていることは非常に有効です。
いずれにしても「ゼネラリスト」「スペシャリスト」に関わらず、「プロフェッショナル」であることが大切であり、その中で両者の違いを知り、自分のキャリアを見つめ直すのが良いとも言えます。ぜひこの機会に自分のキャリアを見つめ直してはいかがでしょうか?
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