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~社労士監修~
退職手続きガイド【失業保険編】自己都合と会社都合で基本手当の金額が変わります!
いざ会社を辞めて退職するとなると、すぐ転職できたり新しい仕事に就けた場合は別ですが、無職となって収入が途絶えてきてしまうのが必然です。場合によっては貯蓄や退職金などを上手く活用して、その無職期間を何とか凌ぐこともできますが、やはり心許ないというの正直なところですよね。もし家族がいるのであれば尚更です。
なお、皆さんもご存じかと思いますが、退職してしまい一定期間無職の場合については、退職前に雇用保険に加入していれば、一定の条件を満たすことによって無職期間中の収入を補填することができます。
ただ実際に雇用保険料は払ってはいるものの、雇用保険の給付内容についてはあまり知らない方が多く、いざ退職の時に手続きで苦労したり、また本来もらえるべき給付が受けられないなど、損をしてしまう可能性もあるので、今回は雇用保険における失業給付の内容や手続きについてわかりやすく解説していきます。退職理由がポイントとなるのでぜひご参考ください。
雇用保険への加入状況を確認する
雇用保険に加入していなければ残念ながら失業給付を受けることはできないので、まずは雇用保険に加入しているかどうかを確認して行きましょう。 雇用保険の確認方法はいくつかありますが、 簡単な方法をいくつか紹介していきます。
- 雇用保険被保険者証が手元にあるか確認する
⇒被保険者証が手元にある場合は雇用保険に加入していることになります。- 会社の人事総務部に確認する
⇒被保険者証が手元にない場合は、 会社で保管していることもあるため、会社の人事総務部に確認するのが良いでしょう。- 給与明細書で確認する
⇒給与明細書で社会保険料として雇用保険料が控除されている=雇用保険に加入していることが確認できます。
(※ただし会社が保険料を行政に納付していないことも稀にあり100%とは言いきれません)- 最寄りのハローワークで確認
⇒被保険者証が手元になく会社でも確認ができない場合は、一番確実な方法として最寄のハローワークで確認することができます。
退職時に必要な書類と手続きの流れ
失業給付を受ける場合についてはいくつかの書類が必要となるため、事前の準備と手続きの流れを知っておくと、その後の手続きがスムーズに行きます。
■手順1:雇用保険被保険者証と離職票1・2を準備する
「雇用保険被保険者証」については手元にあれば問題ありませんが、もし手元になければ会社で保管されていれる場合もあるので、その場合は会社へ返却してもらうよう依頼しましょう。もし最悪紛失している場合は最寄のハローワークで再交付申請ができます。
「離職票1・2」については、ハローワークから会社経由で送付されてくるので、万が一届かない場合は会社へ確認していきましょう。
■手順2:最寄りのハローワークに出向いて求職の申し込みをする
失業給付をもらえるかもらえないかは、退職日後に必要書類をハローワークに提出した上で求職の申込みを行わなくてはいけません。
求職の申し込みによって失業給付をもらえる場合は、ハローワークより受給説明会の日程が知らされます。
【必要な書類】
- 雇用保険被保険者証
- 離職票1・2
- マイナンバーカード
- 住民票または運転免許証
- 印鑑
- 金融機関の口座証明印(預金通帳でも可)
- 顔写真(縦3cm×横2.5cm)
■手順3:受給説明会で雇用保険受給資格者証と失業認定申告書をもらう
求職の申し込みから7日間の待機期間が経過すると、受給説明会があり、そこで失業給付を受けるための「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されますので、なくさないように保管しておきましょう。
また第1回目の失業認定の日程が伝えられます。(失業認定日は原則4週間に1回となります。)
■手順4:失業認定日にハローワークに行く
指定された失業認定日にハロワークに行き、そこで求職活動を行った実態が認められた場合、失業給付が受けられることになります。
なお、求職活動の実態が認められない場合は失業給付が受けらなかったり、また自己都合退職の場合は、求職の申し込みから3ヶ月間は受給できませんので注意しましょう。
失業給付がもらえる受給資格者とは?
受給資格者とは、 ハローワークからの認定を受けたうえで失業給付を受け取れる人のことをいい、退職理由から大きく3パターンに分けられます。
【一般受給資格者】
基本的に自己都合退職した人になります
(特定受給資格者・特定理由離職者以外の人)
【特定受給資格者】
「倒産」や「解雇」等の会社都合によりやむを得ず退職した人になります。
- 事業所の移転により通勤することが困難となったため退職した人
- 明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより退職した人
- 賃金の額の3 分の1を超える額が連続2 か月以上と支払われず退職し人
- 離職の直前1ヶ月に 100 時間又は 2~6 月平均で月 80 時間を超 える時間外労働が行われたため退職した人
- 労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該労働契約が更新されず退職した人
- 労働契約が更新されることが明示されたが、結果として労働契約が更新されないこととなったことにより退職した人
…etc
【特定理由離職者】
会社都合を除き、やむを得ない事情により退職した人
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷等により退職した人
- 妊娠、出産、育児等により離職した人
- 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するため退職した人
- 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより退職した人
- 結婚や育児に伴う保育所利用によって通勤不可能又は困難となったことにより退職した人
- 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避のため退職した人
- 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向に伴う別居の回避のため退職した人
- 企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて退職した人
…etc
失業給付がもらえるための条件とは?
失業給付をもらえるためには、失業認定日における求職活動の実態と、退職日以前に雇用保険に一定期間加入していたことが必要となります。ハローワークで受給資格者証がもらえるの人は、この条件を満たしていることになります。
【受給条件】
- 一般被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること。
- 退職の日以前2年間に、雇用保険の加入期間が通算して 12 か月以上であること
(特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算 して6か月以上あること)
失業給付はいつまで受給できるの?
受給できる期間は退職日の翌日から起算して1年間となりますが、妊娠、出産、育児、疾病、負傷、子の看護等の理由によって引き続き 30 日以上職業に就くことができない日がある場合には、その日数を受給期間に加えることができます(最大で+3年間です)
また定年退職者等で、一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合 には、その日数を受給期間に加えることができます。(最大で+ 1 年間です)
失業給付はいくら受給できるの?
失業給付は以下の式で計算されます。
【計算式】
賃金日額 × 給付率 = 失業給付の1日あたりの金額
【賃金日額】
雇用保険の加入期間として計算された「退職日以前の最後の6か月間に支払われた賃金の総額を180日で割ったもの」
※年齢によって上限金額と下限金額の設定あるため注意ください。【給付率】
①離職時の年齢が60歳未満の場合⇒100分の80から100分の50までの範囲で決定されます。
②離職時の年齢が60歳~64歳の場合⇒100分の80から100分の45までの範囲で決定されます。
1日あたりの金額を計算した後は、給付が受けられる日数(所定給付日数)を決めていきます。先ほど受給期間は原則1年間とお伝えしましたが、1年間丸ごと受給できるわけではなく、簡単に言えば「この1年の間であれば、所定給付日数を限度として、失業給付を受給できる」ということになります。
なお所定給付日数は退職理由に大きく左右されるため、会社に伝える退職理由を安易に自己都合退職にしてしまうと離職票にも自己都合退職とされてしまい、本来よりも所定給付日数が少なくなり損をしてしまう可能性があるため注意しましょう。
【所定給付日数】
所定給付日数とは、失業給付が受給できる上限日数のことであり、雇用保険の加入期間や離職理由等によって「90日~330日」の範囲で決定されます。
まとめ
雇用保険の失業給付については、一番重要なポイントはやはり「退職理由によって所定給付日数が決まる」ということに尽きます。例えば夫の転勤に伴い妻が会社を退職して家族帯同となる場合、一般的には自己都合退職と思われますが、雇用保険上は特定理由離職者として所定給付日数は通常の受給資格者よりも多くなり、結果として失業給付を多く受給できることとなります。退職理由については会社に遠慮してしまったり、退職を引き留められないよう建前上の理由を伝えてしまったりするケースもありますが、慎重に判断していくのが良いでしょう。
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