社会保険・年金制度

【社労士監修】知っておきたい!パートタイマーの厚生年金保険加入~これから何が変わるのか?~

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【社労士監修】知っておきたい!パートタイマーの厚生年金保険加入~これから何が変わるのか?~

皆さんご存じのとおり今後日本の人口は減少していき、それに伴って労働力人口(15歳~64歳)も2040年には今よりも約1200万人減ると言われています。そのため働き手不足を解消するために、以前よりも高齢者や女性が仕事に就く機会が増え、それに伴い働き方も多様化しているように感じられます。このような多様な働き方に対応するために、今後パートタイマー(短時間労働者)にも社会保険の適用が進められていくことになりました。今回はパートタイマーの方を対象に、厚生年金保険へ加入すると何が変わるのか?解説していきたいと思います。

これから厚生年金保険への加入者が増える

2020年5月29日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金制度改正法)」が成立し、6月5日に公布されました。この改正によって、社会保険(厚生年金保険、健康保険)の適用範囲の拡大が、2022年10月より実施されることとなり、パートタイマーやアルバイトなどへの短時間労働者の方で、一定の条件を満たした場合は、厚生年金保険に加入することになります。
これによって、今まで配偶者の扶養範囲内で働いていた専業主婦(主夫)の方でも、今回の法改正によって厚生年金保険の加入要件に当てはまる可能性がでてきました。

厚生年金保険への加入要件が変わります

年金法改正により、2022年10月からパートタイマーやアルバイト等の短時間労働者への厚生年金保険への適用が段階的に変わります。
主な変更点は【企業規模要件】と【勤務期間要件】となり、①企業規模要件については、現在は「従業員数501人以上の企業」が対象となっていますが、2022年10月以降は「従業員数101人以上の企業」が対象となり、2024年10月以降は「従業員数51人以上の企業」が対象となるため、今まで適用対象外となっていた中小企業に勤めるパート・アルバイトの方も対象となる可能性が出てきます。また勤務期間要件についても緩和され、以前は雇用期間が1年以上見込まれる方が対象でしたが、改正後は勤続期間が2ヶ月以上あれば適用となるため、短期間雇用であったとしても厚生年金保険へ加入することとなります。

支払う保険料と将来もらえる年金が変わります

パート・アルバイトの方で多いのが、配偶者の扶養範囲の中で働いている専業主婦・主夫の方ではないでしょうか?
例えば夫が会社員として厚生年金保険に加入している場合、夫の扶養の範囲内であれば、専業主婦である妻は国民年金における第3号被保険者となるため、年金保険料を払うことなく、老齢基礎年金(国民年金)がもらえることとなります。
しかし、パート・アルバイトで厚生年金保険に加入するとなると、国民年金における第3号被保険者から第2号被保険者へと変更となるため、個別に厚生年金保険料を負担しなくてはなりません。実際にどれくらいの保険料負担となり、将来もらえる年金が変わるのか確認してみましょう。

■モデルケース

ここではモデルケースとして、

  • 夫が会社員で、専業主婦の妻がパート・アルバイトに勤務
  • 今までは厚生年金保険の適用外だったが、年金改正に伴い厚生年金保険へ加入することになった
  • 月収は88,000円

を想定しながら解説していきます。

■保険料負担は増える

今回月収は88,000円なので、年収としては約106万円となります。この年収106万円というのは、夫が加入する厚生年金保険・健康保険における扶養の範囲内(年収130万円未満)なので、パート・アルバイトとして厚生年金保険に加入していなければ、国民年金における第3号被保険者となり保険料負担はありません。
一方でパート・アルバイトとして厚生年金保険に加入するとなると、厚生年金保険料を負担することになります。なお月収88,000円の場合、1ヶ月あたりの保険料は16,100円となりますが、保険料負担は労使折半であり会社と従業員とで半分ずつ負担となるため、実際の保険料負担は半分の1ヶ月あたり8,050円となります。

■もらえる年金も増える

先程述べたとおり、月収88,000円の場合は会社員である夫の扶養の範囲内のため、もしパート・アルバイトとして厚生年金保険に加入していなければ、そのまま「第3号被保険者」として国民年金に加入することとなります。またパート・アルバイトとして厚生年金保険に加入した場合でも、保険料負担は発生しますが、今度は「第2号被保険者」として国民年金に加入することとなり、どちらの場合でも国民年金への加入期間は同じなので、老齢基礎年金の額は変わらないこととなります。
ただし、厚生年金保険に加入した場合は、その加入期間が1ヶ月以上あれば老齢厚生年金としてもらえるため、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建ての年金をもらえることとなります。

 

実際に今回のモデルケースの月収88,000円の場合で、将来もらえる老齢厚生年金をシミュレーションすると以下のとおりとなります。

厚生年金保険への加入期間が長ければ長い程、加入期間中に負担する保険料(累計額)は多くなりますが、その分将来もらえる年金に反映されることとなります。
ちなみに負担した保険料(累計額)に対する損益分岐点は、加入期間に関わらず「17年間」となり、17年間以上老齢厚生年金をもらうことができた場合は、保険料負担(累計額)よりも、年金(累計額)が多くもらえることになります。

130万円の扶養範囲はもう考える必要はありません

今回の年金法改正に伴い、パート・アルバイトへの社会保険の適用が拡大していく中、厚生年金保険だけで考えれば、保険料負担はあるものの、その分もらえる年金にも反映されるため、パート・アルバイトの方にとっては非常にメリットがある話となります。
ちなみに現時点で扶養の範囲である年収130万円を超えないように上手く調整しながらパート・アルバイトとして働いている方は多いと思いますが、今回社会保険の適用拡大の対象となれば、月収8.8万円以上(年収換算で106万円)、すなわち130万円よりは低い年収で社会保険へ加入できることから、その段階で配偶者の扶養から外れることとなります。従来は扶養から外れると国民年金・国民健康保険に加入して割高な保険料を払う必要がありましたが、年金改正後は社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入することとなるため、負担する保険料が事業主と折半となること、また将来の年金給付や健康保険の傷病手当金等の保障が手厚くなることから、もう130万円という扶養範囲を考える必要はないと考えます。
逆に言えば、パート・アルバイトでも一般正社員と同じように社会保険へ加入できることからすれば、より働き方に柔軟さがでてきたとも言えるのではないでしょうか?

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