就職・転職・退職

【早期退職優遇制度とは?】利用する際に知っておきたいメリット・デメリット

シェアよろしくお願いします!

【早期退職優遇制度とは?】
利用する際に知っておきたいメリット・デメリット

日本は超高齢化社会となり、それに伴って企業で働く人たちの高齢化も進んでいます。そのため最近の動向として、早期退職優遇制度を採用する会社が増えてきました。また以前であれば早期退職といえば55歳以上や50歳以上を対象とするイメージでしたが、最近では45歳以上を対象とする会社や、さらには30代を対象とする会社も出てきました。近い将来、早期退職優遇制度は定年の前倒しではなく、セカンドキャリアための通過点となると考えられます。今回はそのような近い将来に備えて、 早期退職優遇制度を利用する際に知っておきたい大事なポイントについて、解説していきたいと思います。

会社が早期退職優遇制度を採用する理由

まず最初に知っておきたいのは会社が早期退職優遇制度を採用する理由です。主な理由は2つあり、1つ目は労働力人口=社員の高齢化が進んでいることから、年功序列賃金による人件費の高騰化を抑制したいこと。2つ目は人員整理はしたいものの労使間トラブルは極力避けたいことが挙げられます。

通常、人員整理と言うと昔は「リストラ」=解雇というイメージでしたが、この場合労使間トラブルに発展する可能性が高く、解雇の有効性について争われるケースが少なくありません。また解雇の有効性が認められるには会社にとってハードルが高いため、できる限り社員からの希望退職という形で人員整理を行いたいというのが狙いです。

早期退職における制度の違い

 早期退職優遇制度を利用する際に注意しておきたいのが、会社が希望退職者を募集している場合に、その募集が早期退職優遇制度に基づく募集なのかどうかを確認することです。早期退職募集制度と似たような言葉で、希望退職募集というのもありますが、この辺りの違いを知っておくことは大事なので、事前に確認しておくと良いでしょう。

  • 早期退職優遇制度
    会社によっては「定年選択制」とも言われており、会社の経営状況に関わらず、人事制度として恒常的に導入されている制度。
  • 希望退職者募集
    会社の経営悪化による人員整理のために、臨時的に行われるもの。退職金などの上乗せにより社員からの自発的な退職者を募集する制度。
  • 退職勧奨
    会社の経営悪化による人員整理のため、会社が積極的に社員に対して退職を促すもの。

会社によって制度の名前が異なる場合もあるので、ポイントとしては「臨時的に行われるものなのか」「恒常的に行われているものなのか」を確認すると良いでしょう。

早期退職優遇制度のメリット・デメリット

早期退職優遇制度というのは、会社の人事制度として恒常的に行われているものであるため、この制度を利用してでの退職は「自己都合扱い」となり、雇用保険の基本手当(失業手当)の支給制限の対象となります。一方で優遇制度であることから、退職金については「会社都合扱い」としたり「ポイント加算」することで、退職金は上乗せして払われます。

【メリット】

自己都合退職の場合は、定年退職や会社都合退職における退職金よりも、金額は目減りするのが一般的です。ただし早期退職優遇制度を利用することにより、退職金については会社都合退職として退職金を支払う会社や、定年の前倒しという意味で、退職金を上乗せするのが一般的であり、退職金が多くもらえるのが一番のメリットとも言えます。

出典:厚生労働省【平成30年 就労条件総合調査の概況】

【デメリット】

雇用保険については自己都合退職扱いとなります。そのため退職後に基本手当(失業手当)をもらう場合には、3カ月(2020年10月からは5回のうち2回の離職については2カ月)の支給制限があるため、支給制限期間内は基本手当(失業手当)をもらうことができません。また支給される日数も会社都合退職と比べると目減りします。
※希望退職者募集(臨時的に行われるもの=会社都合)による退職の場合は「特定理由離職者」に該当し、支給制限はありません。

※雇用保険における基本手当(失業手当)の支給日数

早期退職優遇制度の有効活用

早期退職優遇制度の活用方法については、「なぜ退職するのか?」の理由で大きく異なります。例えば40代、また50代前半の方で、セカンドキャリア(転職・起業)を考えたうえでの早期退職であれば、この早期退職優遇制度は非常に有効的であり、退職から転職・起業まで間の生活資金を得るために、退職金や雇用保険の基本手当(失業手当)を上手く活用する方法があります。逆に少し現役を早めに引退して穏やかな老後生活を過ごすために、定年退職の前倒しとしての早期退職であれば、退職金の上乗せ部分を老後資金に充てる方法も考えられます。よって早期退職優遇制度を活用するには、まずは「なぜ退職するのか?」という今後のライフデザインを明確にしながら、検討していくのが一番良いでしょう。今後、早期退職優遇制度の若年化が進むことは間違いなく、今や30代の早期退職を促している会社もあります。いざという時のためにも、今のうちから自分が勤めている会社の就業規則は確認しておく良いでしょう。

★早期退職優遇制度の若年化が進む理由について知りたい方はこちら↓

シェアよろしくお願いします!

国民年金保険料の支払方法~クレジットカード払いでポイント還元!~前のページ

【付加年金とは?】年金額を簡単に増やすために知っておきたい!付加年金の大事なポイント次のページ

ピックアップ記事

  1. 【初心者も安心】おすすめの副業サイト5選

関連記事

  1. 就職・転職・退職

    起業・副業時のホームページ作成は自作か?発注か?

    起業・副業時のホームページ作成は自作か?発注か?最近の働き方改革に…

  2. 時事問題

    【2025年度以降】なぜ高年齢雇用継続給付は縮小・廃止になるのか?

    【2025年以降】なぜ高年齢雇用継続給付は縮小・廃止になるのか?…

  3. 就職・転職・退職

    【社労士監修】自己都合による失業期間中は、国民年金の保険料免除を利用しよう!

    【社労士監修】自己都合による失業期間中は、国民年金の保険料免除を利用し…

  4. 就職・転職・退職

    【社労士監修】雇用保険の失業手当を受けると年金が停止されるので注意しよう!

    【社労士監修】雇用保険の失業手当を受けると年金が停止されるので注意しよ…

  5. 雇用制度

    ゼネラリストとスペシャリストのキャリア形成の違い、自分に合った働き方は?

    ゼネラリストとスペシャリストとの違い、自分に合ったキャリア形成…

  6. 就職・転職・退職

    【社労士監修】副業制度の導入ガイド~就業規則・諸規程・社内様式の作成~

    【社労士監修】副業制度の導入ガイド~就業規則・諸規程・社内様式の作成~…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Presented by

人気記事

ピックアップ記事

  1. 「会社を辞めたい理由」を検索し始めたときが転職を考えるタイミ…
  2. 退職後の住民税、困らないためのポイントは?
  3. 会社員が副業した場合、確定申告はいくらから必要なのか?
  4. 【社労士監修】2025年から始まる時短勤務給付金(育児時短就…
  5. 【社労士監修】育児休業給付金は手取り賃金の約90%~もらえる…
  6. 【社労士監修】2025年度から産後のパパ育休の給付金が手取り…
  7. 【社労士監修】今の若者は出世したくない?いえ興味がないだけで…
  1. 労働時間・休暇・休日

    【社労士監修】育児休業期間はいつまで?延長出来るケースも徹底解説
  2. 労働時間・休暇・休日

    【パパ休暇】【パパママ育休プラス制度】 男性の育休期間はいつからいつまで?
  3. 労働時間・休暇・休日

    【社労士監修】2022年10月改正版「育児休業期間中の社会保険料免除はいつまで?…
  4. 労働時間・休暇・休日

    【パパ休暇】【パパ・ママ育休プラス】育児休業給付金の延長と上手な活用方法をわかり…
PAGE TOP