フリーランス給付金4100円「ふざけるな」は本当にそうか?

時事問題

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先日、政府が新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、小中高校を休校にするよう要請をしてきました。
あくまでも要請であるため、最終的な判断は各都道府県や市町村に委ねられているものと言われていますが、概ね99%の自治体が休校と判断としていることからしても、お上に従えというのが良くも悪くも日本の文化でもあります。そこで問題となったのが、小学校の休校に伴い日中に子供の養育をする必要が出来てきた保護者への休業補償です。
当然政府の要請でもありますから、SNSでも「唐突すぎる」「仕事が休める状況ではない」との意見もある中で、保護者にとってみれば半ば不可抗力であることからすれば、一定の休業補償を政府が行うと表明したことについては当然と言えば当然なのですが、行動に移すにはそれなりの覚悟(口だけの評論家やコメンテーター、それを取り巻くメディアからの批判は付き物なので)が必要であることから、今回は政府の英断だったと思います。

なお、最初に表明したのは、主に会社員に対する休業補償ということで、「企業に対する助成金」を支給するというものでした。その内容は簡単にいうと以下のとおりとなります。


「新型コロナウィルス感染症による小学校休業等対応助成金」という
その内容は
①対象者
臨時休業した小学校等に通う子の保護者である労働者に対して、有給特別休暇を取得させた企業が対象となります。
※有給特別休暇は年次有給休暇とは別であること。
※小学校等には、小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などが含まれます。
②対象期間
令和2年2月27日から3月31までに取得した有給休暇が対象となります。
③支給額
対象期間において、有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額を企業に対して支給されますが、1日1人あたりの上限は8,330円となる
※雇用保険の賃金日額上限の水準と合わせたものと考えれます

これで会社員への休業補償が行われることで、問題が解決すればよかったのですが、さらに問題が起きたのがフリーランス・自営業の方への休業補償です。
当然、小学生の子供をもつ保護者は会社員などの勤め人だけではないことから、「フリーランスを馬鹿にしているのか?」「フリーランスと会社員との間で不平等でないか?」との批判が出てくるのは必然であり、これらの意見は当然ですし、政府も要請を出している以上、フリーランスや自営業への休業補償を行うべきと考えます。

その対策として最初に表明したので、助成金という名目で10万円程度の貸付を行うといったのであり、当然これは補償ではなく貸付のため、フリーランスや自営業の方の心の火に油を注ぐ結果となり、その後表明したのが「フリーランスや自営業の方に対して1日あたり4,100円を補償する」というものでした。

ここからが今回のテーマでもあるのですが、この1日あたり4,100円というのに対して、またしても「会社員と不平等ではないか?」「フリーランスを馬鹿にしているのか?」という批判が出てきており、国会答弁でも某議員による「ふざけるな!」との発言が出てきていることからしても、こういった感情ありきの発言は国民感情を逆なでし、不満に不満を煽るものであるため、共感を得ることはできても、問題そのものを解決したことにはなりません。

まず考えるべきことは、助成金はただで出せるわけではないため、支給するにせよ財源というものが必要となります。
では今回会社員に対する休業補償としての企業に対する助成金の財源はどこにあるでしょうか?
それは『雇用保険料』です。
雇用保険料とは毎月会社員は給与天引きという形で強制的に納付される形式が取れており、また企業も業種によって決めらた率によって毎年度負担しているものになります。
なお、原理原則として保険というシステムで保護されるのは保険料を納付している者に限ります(保険料を払っていないものが保険システムで守られるとすればそれこそ保険料を負担をしているものとの平等性が保てない)ので、今回企業への助成金として保護されるのは、雇用保険料を納付している企業と、その企業に雇用されている会社員となります。

一方で、フリーランスや自営業の方への助成金の財源はどこにあるでしょうか?フリーランスや自営業の方はそもそも雇用保険には加入できないため、保険システムの原理原則から雇用保険料は財源にはできないため、その財源は『税金』となります。
『税金』の主な役割は「所得の再分配」であり、簡単に言えば高所得者から高い税金を徴取し、低所得者へ分配する仕組みを言います。
そこで考えなくてはいけないのが、税金の役割を前提とすれば、今回新型コロナウィルスによる子供の休校に伴い休業を余技なくされたフリーランス・自営業の方と、その他助成金を受けている低所得者との均衡を図る必要があるということです。当然個々人の自助努力によるところもありますが、今回休業に伴う生活困窮があるとすれば、それはその他低所得者の方の生活困窮と同等に考えなくてはいけないということです。(ドライに言ってしまえば、どちらがどれだけ頑張っているかという精神論は所得の再分配と一切関係ありません)
私が以前からの記事で個人への助成金がある場合は「セーフティーネット」との意味合いが強くなると言っていたのはそのせいです。

つまり、今回休業補償については、そもそも会社員とフリーランス・自営業間とで、助成金という名前こそは同じですが、そもそも財源が違うことからすればそれは全く異質なものであるため、そもそも補償内容について比較のしようがないのです。これが本質です。

すなわち、国会答弁で国会議員たるものが、今回の問題を「不公平だ」とか「フリーランスを馬鹿にしている」と発言したり、それを取り巻くメディアの報道の在り方からすれば、本質を見誤っているとしか言いようがありません。
※一方で1日あたり4,100円というのは、東京都の「最低賃金×4時間」と言うふうに言われていますが、これは雇用保険に加入できるのが週20時間以上という条件があることから、20時間を週の平均所定労働日数に除したものと思われ、おそらく雇用保険に未加入のパートタイムとの均衡を図ったものだと考えられますが、個人的にはまだ検討の余地があるのかなと思います。

今回新型コロナウィルスによる休業補償を巡っては、働き方による不均衡が露呈しましたが、本来雇用される会社員とフリーランス・自営業とでは、働くものとしては一緒ですが、社会保険や社会保障制度においては全く別次元の住人と考えるべきです。これが自由な働き方を阻害する要因であることは言うまでもありません。

もし今回の件でこの不均衡を解消するとすれば、フリーランス・自営業の方が組織として、雇用保険と同レベルの保険システムを作り上げることが、最も近道ではないかと考えます。
そもそも保険システムの成り立ちは、当時貿易商である船乗りたちが、船が難破した際にその損害を仲間同士で支えるために、金銭をカンパし合ったことが始まりとも言われています。きっとそうやって大海原に駆け出していったのでしょう。これから新しい働き方として、フリーランスや自営業を目指す人たちも今が同じく大海原へ出る時ではないでしょうか。

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