社会保険・年金制度

【在職老齢年金制度をわかりやすく解説!】働きながらの年金、おすすめの受給方法とは?

【在職老齢年金制度をわかりやすく解説!】働きながらの年金、おすすめの受給方法とは?

 

女性活躍推進による女性の社会への積極的参加、またそれと同時に進む男性の育児への積極的参加、またリモートワークなどの在宅勤務も注目されてきており、ここ数年で働き方に対する意識も大分変化してきました。そして医療技術の進歩もあって、今や人生100年時代とも言われるようになり、昔のように「60歳で定年を迎えて、その後は年金での穏やかな老後生活を送る」というよりは、生涯現役が謳われているように「年金はもらいながら、人生を謳歌するために働く」というのが今後のスタンダードになりつつあるように思えます。ただし人間はどうしても加齢ともに若い時と同じように働くことは難しくなるために、働きながらも年金を如何に有効活用していくのかが大事なポイントとなります。今回は働きながらの年金受給【在職老齢年金制度】について、どのような仕組みで「いくらもらえるのか?」「おすすめの受給方法は?」について、わかりやすく解説していきます。

知っておきたい在職老齢年金の仕組み

在職老齢年金というのは「働くことによる収入がある場合は、年金額を調整(減額または支給停止)します」という仕組みになります。もともと年金制度自体が、加齢に伴う心身の衰えによる稼得能力(稼ぐ力)の喪失を補填するための制度なので、簡単に言えば「稼げる人は年金に頼らず稼いでください」ということになります。ただし、収入のある人すべてが年金を減額されたり、支給停止されたりするなると、収入の多い人と収入の少ない人との公平性が保てなくなるので、「実際に稼いでいる収入」と「もらえる年金額」を考慮したうえで、年金額を調整(減額または支給停止)していくこととなります。

在職老齢年金の特徴について

在職老齢年金を知るためには、以下の4つの特徴を知っておくと、年金が減額される条件や、年金を減らさずに働ける条件がわかりますので、確認しておくと良いでしょう。

■厚生年金保険独自の仕組みです

在職老齢年金については、厚生年金保険における仕組みであり、あくまでも収入があることによって調整されるのは「老齢厚生年金」となります。いくら収入があっても国民年金=「老齢基礎年金」は調整されません。

■調整されるのは「報酬比例部分」のみ

老齢厚生年金は主に「報酬比例部分」「加給年金額」から構成され、そのうち収入によって調整される部分はこの「報酬比例部分」となります。ただし収入によって「報酬比例部分」が全額支給停止されると「加給年金額」も支給停止されることとなるので注意が必要です。逆に1円でも「報酬比例部分」が支給されれば「加給年金額」は全額支給されることとなります。

★加給年金について詳しく知りたい方はこちら↓

■会社に雇用されている人が対象となります

老齢厚生年金を受給しながら、引き続き会社員として会社(厚生年金保険の適用事業所)に雇用され、厚生年金保険の加入者である人が対象となります。なお70歳以上で厚生年金保険の加入者でなくなった人でも、会社に雇用されている限りは対象となります。

■収入は会社からもらう「給与と賞与」が対象

上記の3のとおり、対象者は会社に雇用される人となるため、収入=「給与と賞与」となります。つまり会社に雇用されておらず、定年後個人事業主として得ている収入については、支給調整の対象とはならず、年金額が調整されることはありません。

年金はどれくらい減額されるの?

減額される老齢厚生年金のことを「支給停止額」といい、下のような計算式によって計算されます。

計算式を簡単に言うと、「働くことによる月収」と「1ヶ月あたりの年金額」の合計額が一定額を超えると、年金が減額されることとなります。

★計算式については、詳しく知りたい方はこちら↓

実際にもらえる年金をイメージしておこう

年金がどれくらい減額されるのかを計算するのは手間がかかると思いますので、下の表のとおり実際に「受給できる年金額(月額)」を早見表にまとめてみましたので、ぜひ確認してみてください。

【在職老齢年金の早見表】

【表の見方】
全額支給される場合、一部減額されている場合、全額支給停止される場合とで3パターンで色分けしています。

  •    =年金が全額支給されます。
  •    =年金が一部減額されます。
  •  白 =は年金が支給されません

【ケーススタディ】
  • ケース①
    縦列「働いたときの月収が30万円」と横列「1ヶ月あたりの年金額が9万円」の場合

    ⇒1ヶ月あたりの年金額と変わらない「9万円(月額)」がもらえるため、年金が全額支給されます。
  • ケース②
    縦列「働いたときの月収が50万円」と横列「1ヶ月あたりの年金額が9万円」の場合

    ⇒1ヶ月あたりの年金額よりも低い「3万円(月額)」しかもらえず、年金額は減額(6万円)されます。
  • ケース③
    縦列「働いたときの月収が60万円」と横列「1ヶ月あたりの年金額9が万円」の場合

    ⇒1ヶ月あたりの年金額がすべて減額「0万円(月額)」となり、年金は支給されません。

老齢厚生年金の繰り下げ支給について

繰下げ支給とは?

ここで少し話は変わりますが、働く人にとって「いつから年金を受け取るのか?」、これも非常に大事なポイントです。老後もずっと働き続ける方もいらっしゃれば、引退した後は安らかに老後生活を過ごしたい方もいるでしょう。そのため老齢厚生年金については、本来65歳から支給開始されますが、申し出によって70歳まで支給開始時期を遅らせることができます。(令和4年4月からは75歳まで延長できます)
また支給開始を遅らせることで、老齢基礎年金(国民年金)同様に年金額を増額することができますが、ここで注意が必要なのは老齢厚生年金でいう増額とは以下の計算式で計算されるということです。

 

「繰下げ増額率」は1ヶ月につき0.7%と決まっており、70歳まで受給開始時期を遅らせると0.7%×60ヶ月で最大で42%(令和4年4月からは最大で0.7%×120ヶ月で最大84%)の増額率となりますが、在職老齢年金制度の仕組みとして押さえておきたいポイントが「平均支給率」です。

平均支給率とは?

「平均支給率」とは65歳から受給開始年齢(例えば70歳)までの期間の各月において、在職老齢年金の仕組みによって減額された年金額を、本来の年金額(減額される前の年金額)で割り、それを全期間通じて月平均したものになります。少しわかりづらいかもしれませんが、例えば本来月15万円の年金がもらえるはずなのが、在職老齢年金の仕組みによって6万円しかもらなかった場合は、支給率は40%となります。これを月単位で計算し、全期間を平均化したものが平均支給率となります。ここでもわかりやすく早見表を作成したので確認してみましょう。

【平均支給率 早見表】

ここで大事なのでは、平均支給率が100%であれば、繰り下げ支給による増額のメリットが最大限活かされますが、平均支給率が減るにつれて増額のメリットは段々と少なくなり、平均支給率が0%(年金が全額支給停止)の場合は、増額のメリットはなくなるという点です。

退職時改定・在職定時改定について

また老齢厚生年金の繰り下げ支給と同時に大事なのが、「退職時改定」です。「退職時改定」というのは、働きながら年金をもらっている人が、会社を退職した場合に、年金額の改定を行うことを言います。
これは、例えば65歳から年金をもらいなが働いている人の年金額というのは、あくまでも65歳までの厚生年金保険の加入期間で計算していることとなります。当然65歳以降も厚生年金保険に加入しているわけなので、退職する際はその加入期間が延長した分を年金額に反映させるというのが「退職時改定」のポイントとなります。以下の図の場合、70歳に退職したとなれば、その時に退職時改定が行われ、年金額が一気に増額することがわかります。

ただし、今回年金法改正が行われ、令和4年4月からは「在職定時改定」が導入され、毎年10月に年金額が改定されることとなり、以下の図のとおり働いている間は段階的に年金額が増額することとなります。今までは退職するまで加入期間は退職後でしか年金額に反映されていなかったのが、今回年単位で都度反映されることとなり、実態に即した年金額を受給することができるようになります。

★在職定時改定について詳しく知りたい方はこちら↓


★定年再雇用と退職時改定について知りたい方はこちら↓

おすすめの受給方法は?

さて、最後に働きながらの年金受給について「おすすめの受給方法」を紹介します。受給方法については、在職老齢年金の仕組みによって、年金が支給調整(減額また支給停止)されることや、老齢厚生年金の繰り下げ支給による増額のメリットにも影響していること、また働き方に対する個人の考え方の違いもあることから、一概に全員におすすめの受給方法というのは存在しません。在職老齢年金の仕組みによる年金の受け取り方法によって概ね3タイプに分けられるため、次ページでは各タイプごとに「おすすめの受給方法」について紹介していきます。

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