【専業主婦(主夫)のための年金】加給年金とは?もらえる条件と年金額について解説
老後の生活のために必要な年金。年金には主に二種類あり老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。特に会社員の場合は厚生年金保険に加入することになるため、1階部分が老齢基礎年金、 2階部分が老齢厚生年金となり、受給資格を得ることができれば、この両方から年金をもらうことができます。ただし、この2階部分の老齢厚生年金については、一定の条件を満たすと、さらに「加給年金」が上乗せとなり、通常の年金よりも多くもらえることができます。老後資金を考える時は、もらえる年金を正しく知ることが大切です。今回はこの加給年金について、 わかりやすく解説していきたいと思います。
加給年金とは?
加給年金とは老齢厚生年金の上乗せ部分となるため、厚生年金保険に加入する会社員向けの年金になります。会社員の場合だと給料に扶養手当や家族手当があるのと同様に、年金制度における扶養手当にあたるのがこの加給年金となります。つまり老齢厚生年金の受給権を取得した際に、一定の家族を扶養していることが必要であり、また一定の期間は厚生年金保険への加入していることも必要となります。では具体的に加給年金がもらえるための条件について確認していきましょう。
加給年金がもらえる条件は?
加給年金がもらえる条件は大きく3つの条件が必要になります。一つ目は厚生年金保険の加入期間、二つ目は対象となる家族が誰か?、三つ目は収入要件・生計維持要件となります。
厚生年金保険への加入期間は20年以上
受給資格を得て老齢厚生年金がもらえれば、必ず加給年金がもらえるとは限りません。加給年金がもらえるためには、少なくとも厚生年金保険20年以上加入していることが必要になります。
※中高齢加入の特例が適用される場合は15年から19年の加入期間が必要となります。
対象となる家族は「配偶者」と「子」
対象となる家族は「配偶者」と「子」になります。つまり老齢厚生年金の受給権を取得した際に、配偶者又は子がいることが必要になります。なお、すべての配偶者と子供が対象となるわけではなく、年齢要件が定められています。
※大正15年4月1日以前生まれの配偶者の方については、年齢要件の定めはありません。
※配偶者自身が厚生年金保険に20年以上加入している場合や、障害に関する年金をもらっている場合は対象外となります。
対象となる家族については、少しイメージしてみるとわかるかもしれませんが、老齢厚生年金は65歳に年金の受給権を得るのが一般的なので、その際65歳未満の配偶者ということであれば、必ず自分よりも年下の配偶者がいることが必須条件となります。逆に言えば年上の配偶者の場合は加給年金が支給されることはありません。また子供については高校生以下が対象となりますが、老齢厚生年金の受給権を得る65歳で18歳未満の子供がいる場合というのは、47歳以降に子供が生まれた場合というふうに考えるとわかりやすいでしょう。
収入要件と生計維持要件
なお、対象となる家族がいれば必ず加給年金がもらえるわけではなく、対象となる家族については一定の収入要件と生計維持要件が必要となります。注意点としては、あくまでも老齢厚生年金の受給権を取得した時点(または加入期間が20年に達した時点)での生計維持要件が判断されるため、例えば老齢厚生年金の受給権を取得した後に再婚して配偶者ができた場合などは、加給年金は支給されません。つまり加給年金をもらうために再婚するという逆選択はできないこととなります。
実際にもらえる加給年金額は?
加給年金額は配偶者または子供の数によって、もらえる年金額が変わってきます。配偶者と二人目までの子供については224,700円、三人目以降の子供については74,900円となります。実際にはこの金額に改定率を乗じることとなりまますが、改定率は概ね1に近いので、あまり気にする必要はないでしょう。
なお、配偶者については特別加算額というものがあり、老齢厚生年金の受給権者の生年月日によって、さらに年金額が加算されるケースがあります。なお特別加算額については配偶者の年齢ではなく、老齢厚生年金の受給権者本人の生年月日が基準となるので、間違えないよう注意しておきましょう。
最後に
もともと昔の加給年金は専業主婦を想定していたため、配偶者の年齢要件はなく、配偶者が65歳以降も支給されていました。しかし昭和61年4月の年金改正に伴って、国民皆年金となり全員が年金制度へ加入することとなったため、65歳以降は配偶者自身の老齢基礎年金が支給されることとなり、加給年金については65歳までとする年齢要件が設けられることとなりました。
また、今では夫婦共働き世帯がスタンダードとなったことから、夫婦ともに正社員として働いて厚生年金保険に加入するケースも少なくありません。実際に加給年金の受給者の人数は減ってきているとも言われていますが、今後の老後資金を考える際に「加給年金はもらえるのか?もらえないのか?」は見極める必要がありそうです。
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