短時間労働者に厚生年金適用の中小企業へ助成拡充…厚労省が新年度から (出典:読売新聞)
厚生年金保険と言えば、以前は主に正社員を対象としていた年金制度であったが、現在はフルタイムで働く従業員が501人以上の企業のうち、短時間労働者(週20時間以上30時間未満)が一定の条件を満たせば厚生年金保険が適用されることとなっており、徐々に非正規雇用にもその適用が拡大されている。また従業員500人以下の企業については、現在は適用対象外であるものの、労使が合意すれば適用できることとなっている。
今回はさらなる適用拡大に向けて、企業向けの助成金が拡充されるとのことであり、企業が社会保険労務士らに依頼して説明や相談、就業時間など働き方の意向調査を行ったうえで厚生年金保険の適用を行った際に、その企業に対して原則19万円が支給される。また生産性向上に向けて研修などを実施した場合は、さらに10万円が加算するというものであり、現在厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金」制度に、これらの助成金が拡充されることとなる。
また厚生年金保険が適用されると、場合によっては厚生年金保険料が給与天引きであることから実際の手取り収入が減ってしまうという問題(俗にいう130万円の壁)もあったが、その対策として手取り収入がなるべく減らないよう厚生年金加入時に基本給を増やした場合については、従業員1人当たり1・9万~13・2万円を企業へ助成する支援策も継続・拡充する。
なお、今後は短時間労働者への厚生年金適用について、現在は任意加入の中小企業についても段階的に義務付けに変更する方針とのことであり、現在501人以上という企業規模の要件を22年10月に「101人以上」、24年10月に「51人以上」に引き下げる法改正を検討しているとのこと。
個人的には、現在のような働き方よる年金制度の違いがあるのは、なんとも不合理であり、本来は働き方に関係なく、誰もが平等に年金を受け取れる制度が正しい姿であると考える。今回の短時間労働者への年金適用の促進が、今後はフリーランス等の個人事業主・自営業方への年金制度拡充、もしくは平等化へ繋がっていけば、もっとより自由な働き方を選ぶことができるのではないだろうか。より個々のライフデザインも色どり豊かになることを願うばかりである。
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