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退職手続きガイド【退職理由編】~退職理由で嘘をつかなくても良い方法~
会社を辞めたいと思った時に、皆さん一番最初に考えるのがこの「退職理由」ではないでしょうか?もちろん退職理由は人それぞれですし、その理由が正しいのか?正しくないのか?の正解はありません。皆さんの気持ちを大事にするのが一番です。
しかし、退職理由の内容やその伝え方によっては
「会社に引き留められてしまうのではないか?」
「会社との関係が悪化して円満退職できないのではないか?」
と悩むことが多く、最終的には「正直に伝えた方がいいのか?」それとも「本音は言わずに、嘘でもいいのかな?」と考える方も少なくありません。
ただ、誰かに「退職するために嘘をつくのですか?」と言われたら、皆さんは「できれば嘘はつきたくない」と回答するでしょうし、嘘は自分と会社の双方にとってもあまり良いものではありませんよね。また嘘の退職理由が、そのまま退職金や雇用保険の失業給付に影響が出てきてしまうこともあります。
今回は、退職理由で悩まれている方を対象に、私自身の経過を踏まえて、嘘をつく必要のない退職理由の考え方のポイントを解説していきます。
【この記事でわかること】
「嘘をつく必要のない、退職理由の伝え方がわかります!」
「嘘の退職理由が退職金や失業手当に影響します!」
手順①退職理由を箇条書きにする
退職理由は人それぞれ違い、明確に1つだけという方もいれば、2つ、3つと複数の理由を持っている方もいると思います。まずはその退職理由を箇条書きにしてみましょう。この段階では小さいことでも、愚痴でも良いので思いつくだけ書いて見るのがポイントです。
【退職理由の例】
- 給与や福利厚生が良くない
- 職場の人間関係が良くない
- 休日や残業時間などの待遇が良くない
- 仕事内容にやりがいを感じない
- 会社に安定性、将来性がない
- 仕事を正当に評価してもらえない
- 子供の育児をしなければならない
- 親の介護をしなくてはいけない
- 家族との時間を大切したいから
…etc
退職理由を考えるポイントとしては、現状の働き方(仕事や会社等)に違和感を持ち始めたのはいつか?それは何か?と過去を振り返ってみると見つけやすいかもしれません。
手順②退職理由をカテゴリー化する
次に手順①で箇条書きにした退職理由をカテゴリー化していきます。カテゴリー化は2つの判断基準で4つに分けていきます。
基準1:外的要因(会社が原因)と内的要因(自分が原因)
【外的要因】会社を原因とした退職理由となります。(主語が会社)
- 会社の給料が安いから
- 会社の残業時間が長いから
- 会社の人間関係に疲れたから
…etc
【内的要因】自分を原因とした退職理由となります(主語が自分)
- 自分は給料をもっと稼ぎたいから
- 自分はプライベートの時間も大切にしたいから
- 自分は一人でできる仕事をしたいから
…etc
基準2:「緊急性あり」と「緊急性なし」
【緊急性あり】
- パワハラ・セクハラ
- 社内いじめ
- 子供の育児の必要
- 親の介護の必要
- 配偶者の転勤
- 健康上の理由
…etc
【緊急性なし】
- 残業時間が長い
- 給与が低い
- 職場の人間関係が良くない
- 仕事の内容が合わない
- 仕事を正当に評価してもらえない
…etc
※緊急性のある・なしについては個人差があるため、自分自身の判断で決めてOKです
以上2つの基準を組み合わせると以下のとおりとなります。自分の退職理由がどのカテゴリーに当てはまるのか確認しておくと良いでしょう。
手順③退職理由を自分化して伝える
退職理由を自分化するとはどういうことなのか疑問に思われた方もいるかと思いますが、簡単に言えばカテゴリー化した退職理由のうち、外的要因(会社が原因)を内的要因(自分が原因)に変換して行くことを言います。具体的には先程カテゴリー化した退職理由を、自分でコントロールできる範囲とできない範囲に分けていき、できない範囲からできる範囲へと変えていく作業となります。
「自分でコントロールできる範囲」というのは、退職理由が内的要因=自分の問題であること、そのうち緊急性の高い問題については、会社は介入できないこととなります。
例えば、親の介護のため会社を辞めますと言って、その介護は誰かに任せられないのか?という風に会社は言って来ませんし、言ってきたとしても会社が責任を取ってくれるわけではありません。
逆に言えば「自分でコントロールできない範囲」というのは退職理由が外的要因=会社の問題であることそのうち緊急性の高い問題については、自分自身が介入できない問題となります。
例えば会社の上司からパワハラを受けていた場合、その上司を改善させるのは自分の力では難しい難しいでしょう。
そこで注目してほしいのが「退職理由が外的要因かつ緊急性の低いもの」になります。このカテゴリーに当てはまる退職理由というのは、確かに会社の問題ではあるものの、掘り下げていくと自分自身の問題へと変換できます。つまり会社の問題を自分自身の問題へと変換することで、退職理由について会社が介入できない状態、つまりは会社に説得力をもって伝えることができるようになります。
【退職理由の自分化:例】
- 給与が低いから(会社の問題)
⇒給与が高いところで働きたいから(自分の問題)- 会社の仕事が自分に合わないから(会社の問題)
⇒自分は〇〇の仕事をしたいから(自分の問題)- 残業時間が長いから(会社の問題)
⇒自分はプライベートの時間も大切にしたいから(自分の問題)…etc
会社とのやり取りを想像してみるとわかりやすいかもしれませんが、「会社の給料が低いから退職します」という不満を理由にしてしまうと「会社の給料をあげれば退職しないのか?」という解決策を言われてしまい、退職を引き止めらてしまう可能性が出てきます。
一方で、「給与が良い会社で働きたいので退職します」と言うと、「会社の給与の不満があるのか?」と質問されることもありますが、会社に対する不満ではなく、自分自身の意志を伝えることによって、会社も個人の価値観に対して解決策は出せないというのが正直なところであり、ここが退職理由を自分化する重要なポイントとなります。
またすでに転職先や新しい仕事が決まっている場合は緊急性も出てくるため、会社から解決策が打診される(介入される)可能性は低くなり、より退職しやすくなります。
退職理由の留意点
退職理由については、会社を説得するために試行錯誤する方もいれば、円満退職のためにあまり本音を言えない方もいるかもしれません。退職理由は可能な限り「自分の意志」を尊重することが大事ですが、実態として本音が言えず退職するケースも少なくありません。
その時に注意が必要なのが、「退職金」と「雇用保険の失業給付」です。本音が言えずに建前上の退職理由を伝えたことによって損をしてしまう可能性があるためです。以下のとおり「退職金」と「雇用保険の失業給付」についてのポイントをまとめておいたので確認しておくと良いでしょう。
【退職金ついて】
会社で退職金規定が定められており、退職を受け取ることができる場合は、以下の点がポイントとなります。
- 自己都合退職の場合、一般的に退職金は減額される
- 会社都合による場合、一般的に退職金は減額されない
- 会社の早期退職制度を利用した場合、退職金が増額される場合がある
※もし退職理由がパワハラやセクハラ等の労働問題の場合は、安易に自己都合退職せず、退職金や慰謝料の交渉のため弁護士による退職代行をお勧めします。
★退職代行についてはこちら↓
【雇用保険の失業給付について】
雇用保険に加入していた場合、支給条件を満たしていると失業給付が受給できますが、以下の点がポイントとなります。
- 自己都合退職の場合、離職後3ヶ月間は失業給付は支給されない
- 退職理由によって、失業給付が受給できる日数(所定給付日数)が異なる
※一般的には自己都合退職と思われる場合(例:結婚・育児に伴う保育所利用、配偶者の転勤等による住居変更による退職)でも雇用保険上では特別理由離職者として、通常よりも多く失業給付が受給できる場合があります。
まとめ
退職理由については、会社や上司に伝える際に悩む方が多いと思いますし、私自身も転職の再に10年以上勤めていた会社を辞める際は、会社からいろんな解決策や打開策を提示されましたが、最終的には勇気を振り絞って「自分の意志」を明確に伝えたことが、円満退職の秘訣だったのかなと思います。
逆に会社に遠慮したり、気をつかってしまったりすることで、会社を過度に期待させてしまうと、仮に退職できたとしても会社とは疎遠になっていたかもしれません。
大事なのは自分と会社は対等な立場であり、遠慮なく明確に「自分の意志」を伝えること、そのためには退職理由を自分自身の中で掘り下げ、納得できるものとしていくことが必要です。もし退職理由に迷われている方は、今回記事を参考にしていただければ幸いです。
★その他退職手続きについてはこちら↓
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