社会保険・年金制度

【社労士監修】年金生活者支援給付金をわかりやすく解説~給付内容と手続きの流れ~

シェアよろしくお願いします!

【社労士監修】年金生活者支援給付金をわかりやすく解説~給付内容と手続きの流れ~

年金生活者支援給付金とは、年金を含めて所得が低い人に対して、その人の生活を支援することを目的として、年金に上乗せされて支給される給付金であり、令和元年10月より施行された新しい給付金となり、「高齢者への給付金」と「障害者や遺族への給付金」の2種類の給付金が設けられました。簡単に言えば、国民年金の加入期間が短い場合や保険料の未納期間がある場合、老齢基礎年金が満額受け取れないことから、生活が困窮しないようにするために支給されるのが今回の年金生活者支援給付金となります。今回はその給付金についてわかりやすく解説していきたいと思います!

【この記事でわかること】
「年金生活者支援給付金の給付内容と手続きが流れがわかります!」

高齢者向けの給付金について
(老齢年金生活者支援給付金)

高齢者向けへの給付金については、老齢基礎年金をもらえる人であり、かつ年金額が低く、その他の収入を合わせても生活が困難な方を対象とした給付金となります。なお老齢基礎年金と連動しているため、給付される金額も、国民年金の保険料納付期間や保険料免除期間によって計算されるのが特徴です。

■支給要件

① 65歳以上で老齢基礎年金の受給者であること
② 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など) との合計額が、老齢基礎年金満額相当(約78万円)以下であること
③ 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること

■給付額

①と②の合計額が支給されます。

①保険料納付済期間に基づく額(月額)
= 5,030円×保険料納付済期間(月数)/ 480月
② 保険料免除期間に基づく額(月額)
= 10,856円×保険料免除期間(月数)/ 480月

目的が、あくまでも年金も含めて低所得者である人向けのための給付金であり、セーフティーネットとの意味合いが強い給付金と言えます。その観点から老齢基礎年金受給者との均衡バランスを図る必要もあり、支給要件に基礎年金の満額(約78万円)以下であることが定められています。
また給付額については、保険料免除期間に基づく月額の方が高く設定されていますが、これは保険料免除期間が多い年金受給者は、基本年金額も目減りしていることが多く、これを補填することを目的としてという趣旨で設定されています。
なお、支給要件の②を満たさない人であっても、 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が約88万円人については、補足的な給付金が支給されることとなっています。

★老齢基礎年金で満額もらうためには?↓

障害者向け・遺族向けの給付金
(障害年金生活者支援給付金)
(遺族年金生活者支援給付金)

障害者や遺族向けの給付金については、障害基礎年金・遺族基礎年金をもらえる人であり、かつその他の収入と合わせても、生活が困難である方を対象とした給付金となります。

■支給要件

① 障害基礎年金または遺族基礎年金の受給者であること
② 前年の所得が「462万1,000円+扶養親族の数×38万円※」以下であること
※同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合は48万円
※特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となります。

■給付額

①障害等級2級の者及び遺族である者 ・・・5,030円(月額)
②障害等級1級の者 ・・・6,288円(月額)

障害等級1級と2級の金額の差については、障害基礎年金とも連動しており、障害基礎年金の場合は1級の年金額は2級の1.25倍となるため、こちらの給付金でも5,030円の1.25倍で6,288円となっています。

給付金を請求したい場合どうすれば?

給付金の請求手続きについては、日本年金機構の年金事務所へ書類を提出することで請求手続きを行うことができます。請求手続きについては、主に3つパターンがありますので、予め確認しておくと良いでしょう。

■65歳以上で老齢基礎年金を新規に請求される方

これから老齢基礎年金を新規に請求する方については、年金の裁定請求と一緒に手続きをする方となります。大まかな流れは以下のとおりです。

  1. 65歳になる3ヶ月前程に日本年金機構(年金事務所)から封筒が送付されてきます。
  2. 封筒の中に「年金生活者支援給付金請求書」が入っているので漏れなく記入し、老齢基礎年金の裁定請求書と一緒に年金事務所へ提出します。
  3. 年金事務所は市町村から所得情報の提供を受けるため添付書類は不要
  4. 年金事務所より支給要件を満たしている場合は、「支給決定通知書」が届きます。(年金の裁定請求と一緒に請求した場合、先に年金証書が届き、その後に支給決定通知書が届きます)
■老齢基礎年金を繰り上げ受給している方で、65歳以上に到達した方
  1. 65歳になる誕生月の初め頃に、日本年金機構(年金事務所)から封筒が送付されてきます。
  2. 封筒の中に「年金生活者支援給付金請求書」が入っているので漏れなく記入し、年金事務所へ提出します。
  3. 年金事務所は市町村から所得情報の提供を受けるため添付書類は不要です。年金事務所より支給要件を満たしている場合は、「支給決定通知書」が届きます。
■障害基礎年金また遺族基礎年金を新規に請求される方

障害基礎年金、遺族基礎年金の受給を始める方は、年金の請求手続きをするときに年金生活者支援給付金の請求手続きをあわせて行うこととなります。実際の給付内容や手続きの流れについては、日本年金機構ホームページ上でもリーフレット等があるので、具体的に知りたい方はそちらも参照してみてはいかがでしょうか?

シェアよろしくお願いします!

【2021年度版】国民年金を満額(78万円)もらうための条件と方法前のページ

【社労士監修】求職者支援制度とは?~失業手当がもらえない場合の給付金~次のページ

ピックアップ記事

  1. 【初心者も安心】おすすめの副業サイト5選

関連記事

  1. 社会保険・年金制度

    【社労士監修】年金の繰り下げ受給で気をつけておきたい「加給年金」と「振替加算」

    【社労士監修】年金繰り下げ受給で気をつけておきたい「加給年金」と「…

  2. 時事問題

    【2025年度以降】なぜ高年齢雇用継続給付は縮小・廃止になるのか?

    【2025年以降】なぜ高年齢雇用継続給付は縮小・廃止になるのか?…

  3. 社会保険・年金制度

    【専業主婦(主夫)のための年金】加給年金とは?もらえる条件と年金額について解説

    【専業主婦(主夫)のための年金】加給年金とは?もらえる条件と年金額…

  4. 社会保険・年金制度

    【社労士がわかりやすく解説!】出産手当金はいつからいつまでもらえるの?

    【社労士がわかりやすく解説】出産手当金はいつからいつまでもらえるの…

  5. 社会保険・年金制度

    起業・副業の前に知っておきたい!会社員と個人事業主の社会保険制度の違い【年金制度編】

    起業・副業の前に知っておきたい!会社員と個人事業主の社会保険制度の違い…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Presented by

人気記事

ピックアップ記事

  1. 【社労士監修】児童手当 2024年10月から高校生までが対象…
  2. 【社労士監修】育休中に副業しても大丈夫?副業の方法と給付金へ…
  3. 【社労士監修】会社を辞めた後の住民税の支払いはどうなるのか?…
  4. 【社労士監修】2025年から始まる時短勤務給付金(育児時短就…
  5. 「会社を辞めたい理由」を検索し始めたときが転職を考えるタイミ…
  6. 会社員が副業した場合、確定申告はいくらから必要なのか?
  7. 【社労士監修】育児休業給付金は手取り賃金の約90%~もらえる…
  1. 労働時間・休暇・休日

    【パパ休暇】【パパママ育休プラス制度】 男性の育休期間はいつからいつまで?
  2. 労働時間・休暇・休日

    【社労士監修】2022年10月改正版「育児休業期間中の社会保険料免除はいつまで?…
  3. 労働時間・休暇・休日

    【社労士監修】育児休業期間はいつまで?延長出来るケースも徹底解説
  4. 労働時間・休暇・休日

    【パパ休暇】【パパ・ママ育休プラス】育児休業給付金の延長と上手な活用方法をわかり…
PAGE TOP